挙児希望人数 と受診時期
挙児希望が二人以上の場合、これからの不妊治療期間だけでなく、妊娠できた後の出産までの期間、産後ホルモンバランスが元に戻って、次の不妊治療開始~成功までの期間を考慮しなければいけません。
どの程度の時間がかかるか試算してみますと、
①妊活期間(不妊治療) 約1-2年
②妊娠期間 約1年弱
③産後-不妊治療再開 約1年
①妊活期間 約1-2年
妊活期間は若ければ早めに結果がでる可能性が上がりますが、
中々結果が出ない場合は一般不妊治療(タイミング、人工授精)、高度不妊治療まで
必要となるカップルも沢山いるので、妊活にかかる期間は予想が難しいです。
最速では初診から翌月に卒業される方もいるわけですが、
治療方針、年齢によっても結果が出るまでの期間はカップルによりまちまちです。
②妊娠期間 約1年弱
多くの方は、分娩予定日付近で出産になるので約10か月ほどです。
③産後-不妊治療再開 約1年
出産後は授乳が始まり、数か月はお世話が大変で次子を望む余裕はない方が多いでしょう。
また、次子を望む場合は断乳することが必要になります。
人工ミルク+離乳食で授乳しなくとも大丈夫な状況にしなければなりませんので、
多くの人は産後1年弱かかるでしょう。
そもそも、出産直後数か月間は妊娠率が低下する可能性が報告されていますので
急ぎ過ぎない方がよいかもしれません。
上記をまとめますと
これから不妊治療を開始する場合、妊娠・出産し、
その次のお子さんのための妊活を再開するのは、一般的に3年後くらいが目安になります。
最短でいければ1.5年後くらいから再開できるかもしれませんが、ある程度の期間がかかります。
例えば、33歳で一人目を望む場合、二人目の治療は36歳ころから再開すると予想されます。
30代後半になりますと、妊娠率低下が加速してくる年代になりますので、
二人目は不妊治療が難渋する可能性も上がります。
そのため、一人目の妊活をやや早めに進めるよう考えるなど、
長期的な計画を考えることが重要になってきます。
卵巣機能 と受診時期
卵巣機能が低下している場合、早めに不妊治療を進める必要があります。
卵巣機能については、他項で説明しているのでわからない方は下記を参照ください。
(・卵巣機能/AMHとは ・卵巣機能が低下している場合)
卵巣機能は加齢とともに低下しますが、その低下速度は人により個人差が大きいです。
卵巣機能が枯渇する=閉経してしまうため、低下しきる前に不妊治療を進めることが重要です。
卵巣機能については、特殊な検査をしなければわかりませんので、不安な方はAMH(抗ミュラー管ホルモン)採血などを考慮しましょう。
卵巣腫瘍 と受診時期
卵巣腫瘍は卵巣にできる腫瘍のことで、様々な種類があります。例えば、子宮内膜症に起因する卵巣腫瘍であるチョコレート嚢腫などが有名です。
どのような種類にしても、一定以上の大きさ、内部性状、自覚症状により手術が検討される疾患です。術式としては、卵巣腫瘍のみを切除する方法と、卵巣片側丸ごとを卵管とともに切除する方式の2つがあります。
卵巣腫瘍に対して手術をした場合は、その後の卵巣機能低下が早くなることが知られています。手術中の焼灼の回数や、卵巣腫瘍のタイプによって術後卵巣機能低下の程度が変わってくるとされています。
・腫瘍タイプとしては、 内膜症(チョコレート嚢腫) > 漿液性 > 奇形腫 の順に
卵巣機能低下の程度が強くなりやすいです。内膜症はどうしても周囲組織との癒着が強く、剥離が困難であったりと正常組織への侵襲が増えるためと考えられます。
(Front Endocrinol.2022 Effect of laparoscopic cystectomy on ovarian reserve in patients with ovarian cyst.Ghazal M.)
卵巣腫瘍の手術後の方は、上記の様に卵巣機能低下が早まるため、早期に不妊治療を開始することをお勧めします。また、卵巣腫瘍は指摘されているが、手術はせず様子をみている方についても、今後手術が必要となってくる可能性や、腫瘍の存在が不妊治療の妨げになることがありますので、やや早めの受診を勧めます。
月経不順 と受診時期
一般的に月経周期が正常とは、25~38日周期の事を指します。自然にその周期期間内で月経が回っていれば、排卵もある程度順調にできていることになります。
逆に、24日以下の周期期間、39日以上の周期となってきますと月経不順と定義され、
しっかりと排卵できていない周期もあると予想されます。
排卵できていない周期は、当然妊娠の可能性もありません。
月経周期が不順な場合は、自分たちで頑張っていても、妊活として意味をなしていない恐れがありますので、時間を無駄にしないよう注意をする必要があります。少なくとも産婦人科施設を受診し、排卵を順調に起こすための薬剤投与を検討したり、排卵まで上手くいっているかの確認をするべきでしょう。