子宮頸がん とは

子宮がんには、子宮の入り口にできる『子宮頸がん』と、
       子宮体部にできる 『子宮体がん』があります。
子宮頸がんは、生命の危険はもちろんのこと、子宮摘出を余儀なくされることがあり、
若い女性の出産の可能性を奪う可能性がある病気です。
好発年齢が20~30代と若い年代の女性で発症しやすいがんであり、近年若年発症例が増えてきています。

子宮頸がんの特徴

がんと聞くと怖いイメージで近寄りたくない、考えたくないと思いますが、
何よりも危険なことは検査もせず放置しておくことです。
子宮頸がんの特徴を知り、適切な対応をしていれば、大事になることを予防できる病気でもあります。

子宮頸がんの特徴は
☆ 若年で発症しやすい
☆ HPVというウイルス感染により引き起こされるがんである
☆ 正常 ⇔ 異形成(前がん病変) ⇒ 初期がん ⇒ 進行がん の過程をふむ 
☆ 初期は無症状のため、検診が必要
☆ 20歳から検診が推奨されており、自治体の補助によりほぼ無料で検診できる
      (➡検診は、対象年齢、実施時期など各自治体でご確認下さい。)
☆ 治療のため子宮摘出が必要になれば、妊娠・出産ができなくなってしまう
☆ 異形成(前がん病変)~初期がんまでに発見できれば、子宮温存が選択肢となる

出産を目指す年代の女性は、定期的に検診を行い、前がん病変で見つけることで、
子宮を温存した手術治療で完治が望めます。

子宮温存手術 円錐切除術

子宮を温存する手術を子宮頚部円錐切除術といいます。
これはその字の通り、頸がんが発生する頚部のみを円錐状にくり抜く手術です。
くり抜いた部分は、術後に細胞増殖が起こり元通りに近づきますので、
大きな機能喪失はなく妊娠・出産のトライが可能です。
頸がんが進んでしまうと、頚部周辺の靭帯や子宮体部(子宮の上方向)に浸潤してしまうリスクがあるため、子宮全体を摘出せざるを得なくなり、妊娠の機会を失うことになってしまいます。
円錐切除術で治療が完遂できる状態で発見することが、若い女性にとってはとてもとても大事という事ですね。

             (図:国立がん研究センター がん情報サービスより)

子宮頸がんの原因 HPV (ヒトパピローマウイルス)

子宮頸がんは、ほぼ100%でヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスに感染することで引き起こされます。HPVは性交渉により感染が成立し、女性の約80%が一度は感染するといわれるほどありふれたウイルスです。そのため、性交渉歴がある女性は子宮頸がんを発症する危険性があります。
ただし、HPVには100種類以上のタイプがあり、がん誘起性の低いタイプであれば、がん発症のリスクはほとんどありません。発がん性HPVに感染した場合に、低い確率ながらがんを発症すると考えられています。

がん発生のメカニズムは、正常な子宮頚部細胞に発がん性HPVが感染。
低い確率で、前がん病変(異形成)に移行する。
そのままほっておくと、低い確率ながら子宮頸がんに移行する。

ここで知っておきたいのは、前がん病変までであれば、正常細胞に戻る場合も多いという事です。
感染したHPVの多くは自然に消失します。また、HPV感染によって変化してしまった子宮頚部細胞の多くも正常に戻ります。
しかし、低い確率でがんに進んでしまう場合があるという事です。

早めの定期検診により生命と子宮を温存できる女性が一人でも増えることを切に願っています。

子宮頸がん検診の実情

海外では検診率は70%前後と多くの女性が検査しているのに対して、日本では一昔まえは約20%と検診率が非常に低いことが問題となっていました。最近は検診率が少しあがって、40%前後の方が受けるようになっているようです。(国民生活基礎調査より)

検診率が上がってきているといっても、海外と比較すると低い水準です。特に20代女性は検診率が非常に低く、多くの人が検診を受けていません。

検診クーポンが配られる年代は、発症する可能性があるため配布されているわけですので、
しっかりと若いうちから定期的に受けるようにしましょう。

性交未経験の方は、HPVに感染する契機がないため、子宮頸がん検診は受ける必要は
ないと考えられます。

子宮がん検診ではどんなことをするの?

子宮がん検診では、子宮頚部(子宮の出口部分)を綿棒などでこすり、細胞を採取し、がんや今後がんになる可能性 がある細胞の有無を検査します。実際の流れは大体以下のようになります。

①問診 月経状況、妊娠歴、症状の有無などについて確認
②細胞採取 内診台に座り、腟鏡という機器で子宮頸部を観察します。
    細い綿棒などで子宮頸部を触ることで細胞を採取します。
③内診 医師が示指を腟内に挿入し、子宮、卵巣の大きさ、腫瘍の有無などをわかる範囲で確認します。

これで子宮頸がん検診は終了です。20-30秒程度で終了します。
まれに少量の出血がありますが、痛みはほとんどありません。