風疹とは、
春から夏に流行しやすい 風疹ウイルスによる感染症です。
主に幼児や若年成人が感染することが多いですが、妊婦が妊娠初期に感染すると
胎児に影響を及ぼすことがあり、注意が必要なウイルス感染症です。
主に飛沫感染(くしゃみ、咳など)や直接接触により感染し、感染力は比較的強いです。
日本においては、最近では2004年、2012-13年に風疹が流行しています。
感染時の症状は、
発熱:通常軽度の発熱
発疹:顔から全身に広がる赤い発疹
リンパ節腫脹:耳の後ろ、頚部リンパ節が腫れる
関節痛、頭痛などです。
先天性風疹症候群 について
妊娠初期 (妊娠20週まで) に妊婦さんが風疹に感染すると、
胎児が先天性風疹症候群を発症するリスクとなります。
それ以外の時期に感染することは、大きな問題にはならないことが多いウイルス感染症ですが、
妊娠初期の感染については慎重になる必要があります。
先天性風疹症候群
妊娠初期に母体が風疹に罹ることで、胎児に起こりうる様々な障害
症状(胎児) : 難聴、心疾患、白内障、精神発達遅滞、小頭症など
妊活中の注意点
まずは、胎児を守るためには女性が抗体をもつことが非常に重要です。
抗体検査を行い、抗体価が低ければ風疹ワクチン接種を検討しましょう。
接種後2か月間は避妊が必要になりますので、一般不妊治療はその間は中止となります。
ART治療であれば採卵→胚凍結は避妊期間でも行うことができますので、(胚移植しなければ妊娠しないため)日程的なデメリットはほぼないと考えられます。
風疹ワクチンを接種した場合でも抗体がしっかりとはつかない方もいます。
そのためワクチン接種は、2,3回必要な人もいますし、複数回うっても最終的に抗体がうまくつかない人もいます。そのため接種歴がある人も、抗体価が低ければ再接種を検討しましょう。
本来は抗体価が基準値以上になったかを確認することで、安全が確保できるのですが、
現在の不妊治療保険制度において風疹抗体価検査は保険適応になっていません。
そのため、風疹ワクチン接種後に感染しえない状態になっているかを、
不妊治療期間中に確認することは難しいのが現状です。
ワクチン接種後でも抗体が増えていない可能性を考慮して、
念のため妊娠初期は人ごみを避けるなど、感染機会を減らした方がよいでしょう。
ワクチン接種後に再検査を行うことができて(妊娠初期等に検査をする場合があります)、
抗体価上昇が確認できた場合は、当然この限りではありません。
風疹ワクチン接種の注意点
・接種後は2か月間の避妊が必要です。
・問診票(ピンク色)の記載が必要です。
医院受付でお渡しできますので、接種希望の方は事前に記入していただくことで待ち時間を短縮
できますので、ご協力をお願いします。
・妊娠の可能性がない状況で接種する必要があります。
例:月経20日目で性交渉を持ってしまっている。
→妊娠が成立している可能性があるのでその周期は接種ができない。
・接種後に副反応がでる可能性があります。摂取後20分程度は院内で様子をみましょう。
発熱、発疹、関節痛などの副反応が出ることがありますが、通常は数日で改善します。
・他の生ワクチン接種をしている場合は、4週間以上あけてから接種しましょう。
・風邪などその他感染症にかかっている場合に接種すると効果が落ちる可能性がりますので、
体調が悪い時は接種は避けた方が好ましいです。
風疹ワクチン接種後に、風邪などのその他感染症を発症した場合は特にワクチン効果は落ちない
と考えられていますので、接種時点で元気かどうかが重要です。
男性の風疹予防について
昭和37年から53年生まれの男性は、小児期の風疹ワクチン予防接種が行われていないため、
風疹流行の発生源となっている場合が多いようです。
厚生労働省も流行抑制のため、該当年代の男性に風疹ワクチン接種を呼び掛けています。
該当年代で風疹ワクチン接種を希望される方は、指定施設へご相談下さい。
男性が風疹ワクチン接種を行う理由としては、
1. 妊娠初期のパートナーにうつさないように
女性が十分な風疹抗体を持っていない場合で、
男性が風疹を外から持ち込んでパートナーにうつしてしまうことが最悪のパターンと思われます。
女性の風疹抗体価が低い場合は、男性も風疹抗体検査(自費診療)、風疹ワクチン接種を
考慮したほうがよいかもしれません。
2. 国内の流行をつくらないため
多くの国民が抗体を持っていれば流行自体が発生せず、この病気で悲しい思いをする人がいなくなります。
欧米では風疹の排除に成功しているのに、日本では依然流行が散発するのは、
前述の抗体を持たない男性が多いためと考えられています。
ワクチン接種の本来の意味合いになりますが、自分達のためではなく、社会のため、
周りの人達のために抗体を持つということも、考慮すべきかもしれません。