卵巣機能が低下している場合
・不妊治療を実施できる残り時間が短くなっていると認識すべき。
・ART治療成績の低下が懸念される。
・改善が期待できる手段としてPQQサプリメントがあげられる。
採血によるAMH(抗ミュラー管ホルモン)値や、
超音波検査における胞状卵胞数減少などの結果から、
年齢平均よりも卵巣機能が低下しているといわれた女性は、
今後どのようなことを注意すべきか、について解説します。
“卵巣機能について”は別ページで概説すみですが、
卵巣機能とは卵巣に残存している原始卵胞の個数を指します。
通常、卵巣機能は加齢により徐々に低下しますが、
この低下具合は個人差が大きく、人によっては想定よりも早く卵巣機能が低下してしまう人がいます。
よくある質問として、
AMHが低かった場合(=卵巣機能低下と推測される)、
今後改善しないのか、とよく聞かれます。
卵巣機能自体は、加齢により低下するのみですので、基本上がることはありません。
一方、AMHはあくまでも卵巣機能を推測する検査の一つです。
胞状卵胞(小さな卵胞)から分泌されるホルモンのため、
測定時の胞状卵胞の個数、大きさなどによりAMH分泌量は変化します。
そのため、日が変わればAMH値自体は多少増減しますし、
前回の測定値よりも高くでることもあるでしょう。
しかし、それは卵巣機能を高く見積もったか、低く見積もったかの違いなので、
AMHの数値変化に一喜一憂しても意味はあまりないでしょう。
(また、保険診療においては測定回数も制限されています。)
早期に卵巣機能が低下することで、想定しうる不都合で下記が考えられます。
・不妊治療において妊娠率低下の一因になりうる
・閉経が早まることで女性ホルモン分泌期間が短縮する
順に解説していきます。
卵巣機能が低下すると妊娠率は低下するのか?
~卵巣機能と不妊治療成績の関係~
卵巣機能低下において、最も危惧すべき点としては、不妊治療において妊娠率が低下する要因になりうることでしょう。
卵巣機能低下=妊娠率低下 と一概にはいいきれませんが、妊娠成立においてマイナスに働く因子になります。
卵巣機能低下の程度と、不妊治療の内容によって、妊娠率が低下する場合としない場合があります。
どのような治療方法で、どういった理由でマイナス要因になるのかを、理解していきましょう。
ART治療においては、卵巣機能がある程度高い方が治療が順調に進みやすくなります。
これは、採卵にむけて排卵誘発剤を使用し、発育卵胞数をある程度増やすことで、採卵1回当たりの妊娠到達率があがることに起因します。
( ∵ 卵子獲得が1個の時よりも、10個取れた時の方が妊娠チャンスは数倍に上がる。)
ART治療が一般不妊治療よりも優位に妊娠率が高くなる要因の一つが、この発育卵胞数増加です。
しかし、卵巣機能が低下することで、発育卵胞数が少なくなってしまいます。
従って、ARTの場合は卵巣機能低下により、妊娠率が低下してしまうことがあります。
ただし、発育卵胞数を増やすにしても、20、30こ以上に増やすことに臨床的な意味はなく、
妊娠率は向上せず、副作用が増えるだけになります。
そのため、卵巣機能が高ければ高いほどART治療成績が良くなるわけではありません。
卵巣機能は低すぎないことが重要であるといえるでしょう。
排卵誘発方法にもよりますが、
明らかに発育卵胞数が少なくなってしまう目安としては、
AMHが2未満というところでしょうか。
卵巣機能低下、挙児希望人数、年齢などを加味して、
妊娠に向けてどのような計画を立てていくかが重要であるといえます。
多くの場合で、一般不妊治療の妊娠率は変わりません。
一般不妊治療では、多胎妊娠予防の観点から、発育卵胞数を過剰に増やすことをしません。
卵巣機能が高くても、低くても排卵数は1周期につき、基本1つとなります。
排卵する卵子の質は、卵巣機能ではなく、女性の年齢により規定されますので、
結果、一般不妊治療では卵巣機能低下により妊娠率は変わりません。
ただし、卵巣機能低下が高度な場合は、排卵自体がない周期が出てきますので、
その場合は妊娠率が低下してしまいます。
分けて下記で概説します。
①卵巣機能低下が強い場合 (AMH 0.3前後以下が目安 )
卵巣機能低下が顕著になってくると月経周期が元々順調であった方も不順になってきます。
これは、卵巣機能が下がると、ホルモンバランスが変わり早く排卵したり(=月経周期が短縮)、
発育する卵胞が少なくなり排卵が遅くなったり(月経周期が延長)するせいです。
排卵が上手くいかない周期が出てくると、一般不妊治療において妊娠率が低下する要因になります。
②卵巣機能低下が①ほどではない場合 (AMH0.5以上が目安)
月経周期が変化してくるほどの卵巣機能低下ではなければ、
一般不妊治療においての妊娠率は変わりません。
一般不妊治療の場合、排卵数は基本1個(増えても2,3個)です。
排卵する卵子の質を規定する要素は、卵巣機能ではなく、女性年齢です。
AMH1.0の30歳でも、 AMH4.0の30歳でも排卵する個数は同数ですし、
卵子の質も変わらないので妊娠率も変わらないという理論です。
それでは、卵巣機能低下が高度になるまではゆっくり一般不妊治療をやればいいのかというと
そうではありません。
上述のように、ARTにおいては卵巣機能が低くなることで、妊娠率が低下する可能性あります。
妊娠率が低い一般不妊治療に時間を使う間にも、
卵巣機能は徐々に下がっていきますし、
また加齢も進むため卵子の質は低下していきますので
卵巣機能低下を指摘された方は、妊娠率が高いART治療へ
早めのステップアップを考慮すべきでしょう。
※月経不順=卵巣機能低下ではありません。
元々月経周期が順調だった方が、不順になりだした場合は
卵巣機能低下による月経不順の恐れがあるので、AMHなどで精査はすべきでしょう。
上述を簡単にまとめますと、 卵巣機能が低下することで
・一般不妊治療は妊娠率は変わらない。
・ART治療は下がる可能性がある。
となります。
卵巣機能が低下してしまっている場合できることは、
これ以上、卵巣機能が下がる前に不妊治療を進めていくことです。
治療開始、ステップアップの時期を見誤らず、適宜進めていくことが重要でしょう。
卵巣機能低下を改善するかもしれない方法
卵巣機能は低下速度が人により差があり、一度低下した卵巣機能は戻ることはない、
というのがこれまでの通説で、医学的にはそれが常識でした。
しかし、新たに強い抗酸化作用をもつ成分であるPQQのサプリメントを使用することで、
卵巣機能低下によっておこる卵巣組織の変化を改善する、
というこれまでの常識を覆す動物実験データも出てきています。
人においての大規模データはまだありませんが、
これまでにはない効果を秘めた成分であり、期待がもてる成分といえるでしょう。
別項にまとめてありますので、トップページからご覧になってください。