ERA検査は、Igenomix社が提供する着床不全に対する検査です。
子宮内膜には、胚(受精卵)の着床に最適な時期(着床の窓₌Implantation Window)があります。
この着床の窓が開くタイミングには個人差があります。
ERA検査により、着床の窓 が一般標準と比べてずれていないかを確認することができます。
本項では、周期の流れ、費用やよくある質問について掲載をしていきます。

ERA検査のスケジュール、費用など
・基本ホルモン補充周期で、来院回数は順調であれば4回程度
(1薬剤処方 / 2 子宮反応確認 / 3 検査当日 /4 結果説明 )
・日程の流動性は高く、指定日前後で来院できれば検査を組むことが可能
・費用は 約14-16万円
重要な点は、本来胚移植を行うタイミングで子宮内膜組織を採取することです。
模擬的に胚移植周期を形成します。
再現性、検査日設定の難易度からホルモン補充周期にて周期を形成します。
詳しくスケジュールの流れを説明していきます。

(前周期)
ERA検査への事前準備として、前周期にピルを処方します。
ピルを事前に服用することで、ERA検査本番周期におけるイレギュラーな卵胞発育発生率を抑制することで、キャンセル周期となる可能性を軽減できます。
ピル服用が難しい場合は省略します。
① ホルモン剤開始
月経初旬より女性ホルモン製剤を開始します。
② 子宮内膜チェック (Day12頃)
子宮内膜の肥厚があればERA検査日程を確定します。
同意書2枚をお渡ししますので、全て記載いただき検査当日必ずご持参ください。
ホルモン補充下にもかかわらず、コントロールできない卵胞発育があった場合は
キャンセル周期となり、再度組みなおしを要することがあります。
また、子宮内膜肥厚が不十分な場合は、ホルモン補充を増量し後日再度チェックが必要となります。
③ ERA検査当日 (+費用)
ERA検査当日は、まず同意書をお預かりします。
※②でお渡しした同意書2通を一読の上、ご記入いただき医師へご提出下さい。
次に内診室で子宮内膜組織を採取します。
保険診療で治療中の方は、先進医療となり約140,000円の費用がかかります。
自費診療で治療中の方は、私費として約160,000円の費用がかかります。
④ 検査結果報告
採取検体はスペインの検査会社に輸送され、解析されます。
結果がでるまでに少なくとも3-4週間はかかります。
ただし、ERA検査においては再検査となる可能性は非常に低いので、
次の治療周期(胚移植や採卵周期)を組んでいくこととなります。
その治療周期の流れで、結果判明している日程で結果報告をいたします。
検査周期の注意点
検査周期の注意点
・子宮内膜組織採取を行うため避妊周期として下さい。
・下記時間帯の中で検査日、検査時間帯を設定します。(検査は平日のみ実施可能です。)
検査日決定時に来院時間帯を提案しますので、当日は指示された時間前にご来院下さい。

当日の流れ
1. 医師から指定された日程で予約をとり、指定時間前にはご来院いただきます。
同意書は必ず記載の上、お忘れなきようご持参下さい。
2. 内診室にて子宮内膜組織を採取し、次回予定をたてたら終了となります。
検査日の注意点
・検査用カテーテルの挿入時、組織吸引時に痛みがあります。
不安であれば鎮痛薬をご持参いただき、検査前後にご使用下さい。
・検査後は出血が付着することがありますので、ナプキン等のご準備をお願いします。
・検査前のお食事は軽めにして下さい。
・検査当日のみ入浴は控え、シャワー浴のみにして下さい。
検査による合併症
・稀に子宮内感染症を起こすことがあります。
子宮内膜症や子宮筋腫などの病気をお持ちの場合は、そのリスクがやや上がります。
検査後に発熱、帯りものに異常がある場合はご相談下さい。
結果判定後の流れ
① 通常
検査時に丁度、着床の窓が開いていると判断された結果です。
つまり胚移植も同様のタイミングで行うと良いという事になります。
② 着床の窓開放前
検査時には、まだ着床の窓が開いておらず、通常よりも子宮の胚受け入れの準備に時間がかかるという結果です。
今後の胚移植は、通常よりも遅めのタイミングで胚移植を組んでいくことになります。
③ 着床の窓閉鎖後
検査時には、着床の窓が開いて閉じた後という結果で、通常よりも子宮の胚受け入れの準備が早く完了してしまうという結果です。
今後の胚移植は、通常よりも早めのタイミングで胚移植を組んでいくことになります。
④ 再検査
非常に稀ではありますが、再検査を要することがあります。
解析が十分にできない場合は、結果が判定できず再検査になることがあります。
この場合、再検査の費用は無料となります。
もう一つ再検査を要する流れとしては、着床の窓は通常よりもずれていることは判明したが、
ずれが高度のため、再度組織採取が必要となることがあります。
この場合は、通常とはずらしたタイミングで再度ERA検査を行い、
着床の窓がどのタイミングで開くかを詳細に見直していきます。
この場合は、再検査費用が必要となります。
- 検査時の痛みはどの程度ですか?
カテーテル挿入時と、組織を吸引採取する際に痛みを感じてしまいます。
カテーテル挿入が容易な場合は、処置にかかる時間は1分程度と短く、
強い痛みを感じる方は少ないです。
カテーテル挿入が困難な場合は、子宮出口を拡張する作業が必要となり、
処置に5分程度かかり、やや強めの痛みを感じる場合があります。
ただ、痛みのため検査実施ができないような経験はこれまでありません。挿入が困難かどうかは事前予測が難しいです。
過度に力を入れてしまうことで、カテーテル挿入が難しくなりますので、
リラックスして検査に臨みましょう。
鎮痛薬は、検査前もしくは直後に使用していただいても問題ありません。
ご持参いただくか、もしくは処方薬をお渡しすることが可能です。
- 検査後に仕事はできますか?
検査後も痛みが続くようなことは稀です。
しかし、検査により子宮に刺激が加わるため、月経痛様の鈍痛がある程度持続することはあります。鎮痛薬の使用により改善がみられることがほとんどです。
検査後の体調は人によりそれぞれですので、
検査当日は休みが取れるのでしたらその方が安心ですが、
デスクワーク等のお仕事でしたら、基本的に問題なくできる方がほとんどです。
- EMMA/ALICE検査と同時に行うことはできますか?
可能ではありますが、基本推奨していません。
ERA検査は着床に好ましい時期が、標準時期とずれがないかをみる検査です。EMMA/ALICE検査とERA検査を同時に行うことをTRIO検査と呼称し、以前は時間短縮のため同時に行われていました。
ただ近年の報告において、EMMA/ALICE検査の異常、つまり子宮内細菌叢の異常がある場合、ERA検査の結果にも影響を及ぼすことが指摘されています。細菌叢の異常があった場合は、抗生剤や乳酸菌製剤を使用し細菌叢を適正な状況に治していきます。そうしますと、細菌叢異常の状況でのERA検査の結果の信憑性が落ちてしまいます。
そのため、TRIO検査として行う場合は、子宮内細菌叢がすでに良好な状況であると予想されるときに限って行うべきと考えています。