春になりますと、花粉で困ってるけど、妊娠中や不妊治療中に
薬使って大丈夫ですかという質問を山ほどいただきます。
私も花粉症には悩まされることが多いので、気持ちはわかります。

この項では、具体的に妊娠中に花粉症で困った際に
どのような治療が検討されるかを掲載していますが、
まずは妊娠と薬について基礎的な情報を理解して
最終的にはご自身の責任で薬を使うか判断をするようにして下さい。

妊娠中の花粉症治療は安全なのか。

花粉症に対して、一般的に処方される薬剤として下記のようなものが挙げられます。
内服薬:抗アレルギー薬 、 ステロイド薬
点鼻薬:抗アレルギー薬 、 血管収縮薬 、 ステロイド薬
点眼薬:抗アレルギー薬

胎児への影響を考えるのであれば、
点鼻薬、点眼薬は非常に安全性は高いと考えられます。
両者とも鼻粘膜、眼粘膜に局所的に効果をだすことを目的として作られており、
血中に移行する割合は非常に低いと考えられています。
それが胎盤を通って、胎児へ悪影響を及ぼす危険性は非常に低いと想定できると思われます。
もちろんノーリスクと断言はできませんが、まずは点鼻薬、点眼薬で症状が落ち着くかをみると良いでしょう。

内服の抗アレルギー薬使用について言えることは、
第一世代の抗ヒスタミン薬は、催奇形性への懸念や、出産直前に使用することで産直後の児の全身状態への影響が懸念される可能性があるのでお勧めしずらいです。
一般的には、効果も高く、副作用が少ない第二世代以降の抗ヒスタミン薬が処方されることがほとんどだと思いますので、それであれば危険性は高くはないと思われます。
点鼻、点眼薬ではコントロールが難しく、眠れない、くしゃみが止まらないなど、症状が強ければ、内服投薬もやむを得ないと考えます。

執筆者は、花粉症治療は専門外の産婦人科医です。
内科、耳鼻科などでしっかりと指針がだされればそちらを信じてください。
あくまでも困ったときの参考にする程度にとどめてください。

妊娠中の花粉症対策として、
①まずは点鼻、点眼薬を使用してみましょう。
②それでは厳しい状況であれば、安全性が高い内服薬を使用しましょう。

花粉症を治す方法 
舌下免疫・減感作療法を試してみて下さい

そもそも花粉症自体がなくなれば対症療法として、薬を使うかどうかなど迷う必要もなくなります。2015年ころからは、舌下免疫療法や減感作療法といわれる花粉症を根本から改善する手段も出てきています。
2024年現在で発売されているのは、花粉症で最も頻度が多い、スギ花粉に対する舌下免疫療法薬です。私も花粉症で数年前まで苦しんでいましたが、この治療を行い現在はスギ花粉に対する症状はほぼ消失しました。数年間の使用が必要といわれていますが、私は1年で症状の改善を実感でき、2年目にはほぼ症状が消失しました。私の周りでも数人使用していましたが、全員ほぼスギ花粉症症状はなくなりましたので、非常に価値の高い治療方法だと思います。危険性もほぼありません。

減感作療法においては、スギ以外の薬剤がまだ作られていないので、その他の花粉症には効果はないのが難点です。花粉症は日本に多い疾患であり、対象患者数が世界的にみれば低いので、その他の抗原に対する薬剤はまだありません。ヒノキやブタクサなどその他の抗原薬剤も、ニーズが高まれば製薬会社が制作に動いてくれるかもしれないので、この舌下免疫療法が多くの人に認知されるのを期待しています。