妊娠によい運動方法は

適度運動が大事であることは前述のとおりです。それでは、具体的にどのような運動をするとよいのでしょうか。

ここからは個人的な見解になりますが、有酸素運動と無酸素運動と組み合わせて行っていくことをお勧めします。
運動習慣がない人は有酸素運動から徐々に幅を広げていきましょう。
ある程度は無酸素運動もいれることで、筋肉量を増やすことができるので、血液還流量上昇や基礎代謝向上により太りづらい、妊娠しやすい身体づくりになるのではないでしょうか。

また、部位としては下半身運動を中心にすることが効率的と考えます。
昨今、下肢筋肉をつけることにより、健康寿命が延びる、卵巣機能に良いという報告が出てきています。
下肢筋力アップが卵巣機能に良いかについてはまだ懐疑的ではありますが、子宮、卵巣は下半身に向けての血管により血流を受けている臓器ですので、あながち間違っていないかもしれません。

これらの情報を加味して、普段運動習慣のない方へ向けて、不妊治療に良いと思われる運動方法、目安などを紹介していきます。また、逆に良くない運動方法についても後述します。

不妊治療中にお勧めな運動方法

社会人になると運動習慣を維持することが非常に難しいと思います。
妊娠のためには、下半身を使う運動がお勧めではありますが、好きな運動方法があれば正直なんでも良いと思います。
楽しいと思える運動こそがその人にとって最適かもしれません。
一応、少しだけお勧めの運動方法を解説していきます。

ウォーキング

最も気軽にできる下半身の筋肉を刺激する有酸素運動です。

少なくとも20~30分以上で、週2回以上を目安にすることをお勧めします。
場所を変えたり、パートナーと一緒に行ったりすることでストレス軽減、自律神経安定にもよいでしょう。

体重を落としたい場合は、ポールウォーキング・ノルディックウォーキングにして、上半身もしっかり使うことでより消費カロリーも増えますし、何より膝などの関節への負担も軽減できます。
慣れてきたらトレッキング、軽い登山なども運動強度があがり、達成感もえられますし非常にお勧めです

スクワット

下半身の筋肉を刺激する無酸素運動です。

古典的な筋肉トレーニングですが、効率的に下半身の主要筋肉群に刺激を与えられます。
ムキムキになるのは嫌な女性は多いと思いますが、ある程度の筋肉をつけることで、基礎代謝を上げ痩せやすくなり、婦人科臓器への血液還流もよくなる可能性があります。
筋トレは短時間でも効果がありますので空き時間をみつけて取り組んでみるのもよいでしょう。

効率的かつ関節を痛めないよう、正しいフォームで行いましょう。
詳しくは運動専門サイトを見ていただきたいと思いますが、簡単にポイントをまとめると

  1. 猫背にならない
  2. つま先が膝より前にならないようにする
  3. しゃがむ時に息を吸う、立ち上がる時に息を吐く

ゆっくりと確実に行っていきましょう。
スクワットには様々な種類がありますので、ノーマルに飽きたら別種類にトライすることで刺激される筋肉が変わりより効果的でしょう。

その他

縄跳び: ジョギングよりも消費カロリーが高く、下半身中心の有酸素運動でお勧めです。

ランジ: 下半身、体幹を中心に鍛えられ、有酸素運動と無酸素運動(筋トレ)両方の要素があります。
    動画などを参考にするとよいと思います。

不妊治療中に避けた方がよい運動方法

男性においては激しすぎる運動(アスリート並の運動)は配偶子悪化に関与するといわれています。 
                               (Tartibian & Maleki、2012)
精液検査ですぐに配偶子の状況が調べられる男性と違い、女性の卵子は調査がむずかしいため、激しい運動の善し悪しについての医学的根拠はありません。しかし、激しい運動は酸化ストレスとなり、活性酸素を産生してしまうので、卵子への悪影響はあるのではないかと推測されます。
ここでいう激しい運動とはアスリート選手並のことですので、そこまで追い込んで運動する人は多くはないとは思います。 女性アスリートは極限まで追い込む練習を行う人もいるため、過度に体重減少、脂肪減少してしまい、月経不順、骨量減少などを引き起こすことが問題提起されてきています。 そうはいっても、追い込まないと結果をだすことができない世界でしょうし、難しい問題です。