適度な運動は妊娠率を上げる可能性があります。
その根拠となる報告をいくつかご紹介していきましょう。

このページのまとめ

① 適度な運動は妊娠率を向上させる可能性がある

② 普段運動をしない人、肥満傾向の人は、
  運動することで妊娠率向上、妊娠中の周産期リスク低下など 
  大きな恩恵がえられる。

運動が妊娠率をあげるメカニズム

・卵巣への血流は、動物の卵胞および卵母細胞の最適な発育にとって重要であると推測される。
                             ( Silva .2006; Siddiqui. 2009)

・運動は血管拡張を誘発し、臓器への血液還流を改善する   
                             (Nystoriak Bhatnagar. 2018)

・馬を対象とした研究で、排卵前の時期において、運動を行うことで、運動していない馬よりも卵巣への血流が増量する。                            (J Anim Sci.2012)

肥満により妊娠率は下がりますので、運動習慣により理想的な体格(太り過ぎず・痩せすぎず)に近づくことで妊娠しやすい身体になります。
その他にも、上述のように、血流改善により妊娠率を上げる可能性が示唆されています。

運動と妊娠の関係

それでは具体的にどの程度よくなると推測されるか、報告を紹介していきます。

・若年女性6130名を対象に、肥満度(BMI)と運動強度(軽・中・高)と不妊発症の確率について研究した。
不妊を呈した女性は全体の約15%だった。
肥満の人は不妊リスクが1.36倍となった。
運動については、運動強度中等度では不妊リスクが0.93倍、運動強度高度の群は不妊リスクが0.82倍とそれぞれ不妊症を呈するリスクが低下した。
BMIが高い人(肥満)は、運動強度を上げても不妊症リスクの低減にならず、BMIが正常な人において運動がリスク低減になった。
最も不妊になりずらかったのはBMI<25かつ、運動強度高度の群だった。
                                (Hum Reprod. 2020)

運動活動性が低い、もしくは肥満により不妊リスクが上がる。
運動により不妊リスクが1~2割ほど低下する可能性がある。
運動はしっかりすることで、妊娠率を上げるが、太っているとその効果が発揮されない可能性がある。
標準的な体格で、運動習慣をもつ女性が妊娠しやすいと考えられる。