妊娠中不足しがちな成分 カルシウム、鉄、葉酸
カルシウム
カルシウムは身体の機能維持や調整、赤ちゃんの骨や歯をつくるなどの重要な役割があります。
妊娠中はカルシウムの吸収率が上昇しますが、普段から不足しやすい栄養素ですので、積極的に摂取しましょう。
1日推奨摂取量=650mg/日
多く含まれる食品
乳製品・・・牛乳、ヨーグルト、チーズ
魚類・・・・ししゃも、いりこ、しらす干し
その他・・・切り干し大根、小松菜
鉄
鉄不足は、貧血や疲れやすい体になるだけでなく、胎児へ十分な酸素が届きづらくなります。
妊娠中は、貧血気味になることが知られており、妊娠前よりも必要摂取量が大幅に増えます。
鉄の吸収を助けてくれるビタミンCを含む緑黄色野菜と一緒に積極的に摂取しましょう。
非妊時の摂取推奨量 | 10.5mg/日 |
妊娠初期の摂取推奨量 | 13.0mg/日 |
妊娠中期・後期の 摂取推奨量 | 21.0mg/日 |
多く含まれる食品
動物性(吸収率良)・・・レバー、赤身肉、赤身の魚
植物性(吸収率悪)・・・・ほうれん草、小松菜、納豆
※レバーには、ビタミンAも多く含まれるため、摂取しすぎは注意が必要
葉酸
葉酸は胎児の二分脊椎などの神経管閉鎖障害の発症リスクの低減に重要です。
妊娠初期は食事に加えてサプリメントによって、
付加的に400㎍/日以上の葉酸接種が推奨されます。
多く含まれる食品
野菜類・・・ほうれん草、ブロッコリー、アスパラ
果物・・・・イチゴ、オレンジ
大豆製品・・枝豆、納豆
過剰摂取に注意が必要な食べ物 ビタミンA、水銀濃度が高い魚介類
ビタミンA
ビタミンAの過剰摂取は良くない!
ビタミンAは脂溶性ビタミンの一つで、目、皮膚、粘膜の健康維持に関与します。
妊娠中は非妊時より多くビタミンAをとることが推奨されています。
しかし、妊娠中にビタミンAをとりすぎるとの胎児先天奇形発生率の増加につながるとされています。
・妊娠初期(妊娠3か月以内)に注意が必要
・動物性食品由来のビタミンAが良くないので注意が必要
1日あたりの摂取量上限量(妊娠初期) : 1,500μg RE (5,000 IU)
含有量が多く、注意が必要な食品
食品 | 含有量 ( μgRE/100g ) | 食品摂取量上限 (目安量/日) |
鶏肉レバー | 14000 | 11g |
豚肉レバー | 13000 | 12g |
うなぎ | 1500 | 100g |
魚に含まれる水銀について (厚生労働省報告参照)
魚介類(鯨類も含む)は、健康を保つために必要な①良質なたんぱく質、②EPA、DHAなど高度不飽和脂肪酸、
③カルシウムなどの微量栄養素を多く含み、妊婦にとってもバランスのよい非常に優れた食材といえます。
魚介類を全く食べない集団では、小児の知能低下や、成人の心臓病のリスクが上昇することも報告されています。
しかしながら、魚介類を通じた水銀摂取により胎児に影響を与える可能性を懸念する報告がなされています。
これはあったとしても、微々たる影響のみであり、魚介類摂取による胎児への福音を上回るわけではない、
つまり魚介類摂取を強く控える必要はないと考えられますが、
下記の内容を把握しておくことは重要であると思われます。
本邦の食品を通じた平均水銀摂取量は、妊婦における耐用量の6割程度であり、
一般に胎児への影響が懸念される状況ではありません。
しかし、水銀濃度が高い魚介類が存在しており、そういった種類に
偏って摂取することは避けた方がよいと考えられます。
海洋生物界における、食物連鎖の上に属する魚介類は基本的に水銀濃度が高くなります。
つまり、大型の魚介類は水銀濃度が高い種類と理解し、摂取しすぎないようにしましょう。
水銀含有濃度の多い魚介類として、クジラ、イルカ、キンメダイ、タイ、メカジキ、クロマグロ、カサゴ、クロムツなどがあげられます。 1食80gと考えると、これらの魚介類も週に1度、1人前をたべる分には問題にはならないとされています。
※マグロにおいては、キハダ、ビンナガ、メジマグロ(クロマグロの幼魚)、ツナ缶は特に含有量は高くはなく、
留意する必要がない種類です。
魚介類は良質なタンパク質や生活習慣病の予防、脳の発育等に欠かせないEPA,DHA等の高度不飽和脂肪酸も多く含まれています。なお、魚介類を全く食べないと逆に健康に悪影響(知能低下、心臓病リスク上昇)ですので、魚介類は危ないとは決して思わないでください。
魚介類には、妊娠と出産に重要である欠かせない栄養を含んでいます。
避けてしまうのではなく、妊娠中は一部の魚介類に注意し、取るなら適量にしましょう。