アルコールと妊娠の関係

不妊治療中のアルコール摂取は、生殖能力を下げるという報告がいくつかある一方で、逆に妊娠率を高める可能性を示唆する報告もあります。下記にアルコールと妊娠についての論文例を列挙します。

・アルコール飲料を2杯/日のむ人は不妊症リスクが増加する(相対リスク1.59) が、
1杯/日未満では不妊症リスクが減少した (相対リスク0.64) 。

・アルコール摂取量が多いほど、妊娠率が低下する傾向がでた。

・ワインを飲む人の方が、アルコールを全く飲まない人より妊娠までの期間が短い。

→ 否定的な報告と、肯定的な報告がともにあります。
ただし、総じて飲み過ぎは良くないといえるでしょう。
また、男女ともにアルコール耐性により、適度な量が変わることも考えられます。
例えば、アルコール摂取による胃がんリスク上昇は、アルコールに弱い人ほど顕著に表れるという報告があります。
不妊に関しても、アルコールに弱い人は大量に摂取しすぎない方が良い、という可能性はあると思います。
特に、日本人は遺伝的にアルコールに弱い系統の方が多い人種です。
上記論文報告は外人対象の結果ですので、日本人に当てはまるかは定かではありません。 
自分の体質を加味して、適度な飲酒にしましょう。

妊娠してからのアルコール摂取は胎児発育に悪影響であることが証明されていますので、完全に止めるべきです。

アルコール飲酒と妊娠 
少量であればアルコール摂取はあまり悪影響がない、もしくはよい影響も考えられる。
アルコール摂取量が多くなると、妊娠率を下げる可能性が高い。
→ 1杯/日 程度に抑えておくと無難   

運動と妊娠の関係

適度な運動は妊娠率を上げる可能性があります。
どのように関与するか、推奨される運動方法など詳細は別項に記載します。

不妊とサプリメント

妊娠のためにとった方がよいというサプリメントは多種多数販売されていますが、
明らかな医学的根拠をもってとったほうが良いといえるサプリメントは、下記4つのみでしょう。

1 亜鉛
2 ビタミンD
3 マルチビタミン
4 葉酸

妊娠率向上に最も効果が期待される、亜鉛とビタミンDについては別項にまとめてあります。

☆ 葉酸 
神経管欠損のリスクを減らすために、妊娠を目指す女性は葉酸サプリメント400μg/日以上を摂取するよう勧められています。 妊娠した後のことを考え、先に葉酸サプリメント(エレビットなど) を使用することが推奨されます。
ただし別項で述べますが、妊娠率を上げるという点では亜鉛、ビタミンDの不足を指摘された方は、同物質の補充が優先されます。
費用的な面を考慮するならば
亜鉛、ビタミンDのサプリも推奨されて、さらに葉酸サプリも使用するのは費用が高くなってしまう という方は、
エレビット(葉酸サプリ)は葉酸含有量が多めなので、少し減量(推奨3錠/日→1,2錠/日)していただき
亜鉛、ビタミンDサプリは推奨量を使用しましょう。
妊娠が判明した時点で、エレビットも推奨量を使用することがお勧めです。

カフェイン

カフェイン摂取と妊娠に関する論文報告としては下記があります。
・高濃度のカフェイン接種(500mg/日:コーヒー5杯以上)は、生殖能力低下と関連する(オッズ比1.45)。
・妊娠中に200-300mg以上カフェインを接種すると流産リスク上昇させる。
・男性に対しては、悪影響を及ぼすという報告はありませんでした。

カフェインと不妊治療
女性は1-2杯/日 程度であれば妊娠率、妊娠経過に悪影響ないと考えられます。