この項のまとめ

・ビタミンD不足は、妊娠率低下、妊娠継続率低下を引き起こすとされている。
・妊娠率向上のため、不足を指摘された方はサプリメントで補充しましょう。
エレビット(葉酸マルチサプリ)のみでは、ビタミンD補充は難しい
お勧めサプリ 
・VALX社-ビタミンD+亜鉛 (亜鉛も不足している方はこちらがお勧めです。割引有)

  1. ビタミンDの基礎知識
  2. 日光浴について
  3. 適切な活性型ビタミンD濃度、 摂取の現状
  4. 食品からの摂取
  5. ビタミンD不足と妊娠率について
  6. ビタミンD不足と妊娠継続について
  7. ビタミンD サプリメント 推奨量
  8. お勧めのビタミンDサプリメント  
  9. Q&A (エレビットの併用は?)

ビタミンD (カルシフェロール) は脂溶性ビタミンのひとつで、食べ物(魚、キノコ類など)やサプリメントから摂取したり、日光の紫外線を浴びることで合成が誘発されます。ビタミンDは女性ホルモンなどのステロイドホルモンと似た構造をもち、体内で複数回の代謝変化をすることで活性化ビタミンDとなり効果を発現します。
活性化ビタミンDは炎症抑制、細胞増殖・分化・アポトーシス、免疫機構、代謝経路の調節などに関与しています。

美容のため、日光には1秒たりとも当たりたくないという方もいるのではないでしょうか。
しかし、紫外線(日光)を浴びることで、皮膚にあるコレステロール前駆体がビタミンD前駆体に変化し、
その後体内で活性化ビタミンDへ変化します。
過度に日光を避けることでビタミンD不足につながってしまう可能性は否定できません。

季節による妊娠率の変化として、秋に妊娠率が最も高くなるという報告があります。
(Hum Reprod 2020;35:565)
気温、生活習慣など様々な要因が絡み合うのではっきりとはいえませんが、
もしかしたら日照時間が長い季節の後に上がるという可能性はあります。

美容と妊娠のバランスを考えるため、下記を把握しておきましょう。
・ビタミンD産生のために必要な 日光浴時間は15-30分間で充分(カーテン越しでも)といわれている。(環境省報告)
・紫外線の弱い時間帯 【=朝方、夕方】 に短時間浴びるのがお勧めである。
・ビタミンD不足により、肌の乾燥、炎症、皮膚疾患の増悪を招くという報告もあるので、
極端に日光を避けすぎると、逆にお肌によくないかも。
・日焼け止めは塗っていても、ある程度紫外線は皮膚から吸収されます。
そのため、日焼け止めは駄目ではないと考えます。 ( 当然紫外線吸収量は下がりますが。)

適切といわれる血中濃度は、国やガイドラインにより異なっています。

1. 推奨血中濃度(活性型ビタミンD) 

・欧米では血中濃度30-50ng/mlが推奨とされる。 (J Steroid Biochem Mol Biol 2018; 175: 125)
・日本では20 ng/ml以下を不足、20~30 ng/mlを不十分、30ng/ml以上を十分80ng/ml 以上は過剰、150 ng/ml以上は中毒域としている。 (内分泌学会ガイドライン)
血中濃度は 少なくとも30ng/ml超えるようにするのが無難 

2. 推奨摂取量
2020年の厚労省の報告によると、
国内のビタミンD平均摂取量は7.0μg/dayであり、8.5μg/day以上を推奨するとしている。 
日本国民はビタミンD摂取が少ない。

ビタミンDは魚、鶏卵、きのこなどに多く含まれ、肉や野菜にはほとんど含まれていません。 
効率よく摂取するためには動物由来のビタミンDがよく、
大体の魚であれば“一切れ”食べることで一日推奨摂取量の半分くらいを摂取できます。
特にビタミンDが豊富な鮭、イワシなどでは一口二口で一日摂取推奨量をとることができます。

ビタミンDは卵胞発育、着床、胎盤形成に関与し、不足することでは出産率、妊娠率に悪影響を及ぼすといわれている。

・ ARTにおける、ビタミンD不足と妊娠率について、11論文2700名の女性を対象にした複数論文のまとめによると
                          (Hum Reprod 2018; 33: 65)
活性型ビタミンD濃度において、不足群(<30 ng/ml)と、十分群(>30) で比較すると
活性型ビタミンD濃度が十分な群で優位に妊娠率が向上した。 (臨床妊娠率オッズ比1.46倍)

ビタミンDは抗炎症、抗菌作用、胎盤形成に関与するといわれている。
妊娠率だけでなく、その後の妊娠継続においても不足しない方が良い。

  • ビタミンD不足を改善することで妊娠率向上だけでなく、不育症(流産)、妊娠中の合併症発症予防につながるのではと考えられる。              (Hum Reprod 2018; 33: 65)
  • 反復流産症例群で有意なビタミンD不足が確認された。
    ただし補充することでの改善効果は見られなかった。
    因果関係ははっきりとは断言できない。     (Am J Reprod Immunol 2018; 80: e13022)
  • ビタミンD不足は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、不育症のリスク因子になる。
    その他にも、産児の喘息、呼吸器感染、湿疹、認知機能障害、自閉症予防においても関与する可能性がある。
    至適濃度(20-50ng/ml)を保つためには一日推奨摂取量600-800IU(15-20㎍)、妊娠授乳中1500-2000IU(37.5-50㎍)である。            (JAMA 2016 Jan 26)

ビタミンD不足により、妊娠率低下、妊娠中の合併症発生率の増加、胎児の健常性の低下につながる可能性が指摘されている。
不妊治療中、妊娠成立後においては、不足が予想される場合はサプリメント補充をしましょう。

妊活にお勧めなビタミンDサプリメント

複数の論文報告でお示ししたように、
ビタミンD不足は、妊娠成立、妊娠継続に対して不利に働くため、
不足時は積極的にサプリメントを摂取しましょう。

ビタミンDサプリメントとして、日本では25㎍/day(1000IU)が主ですが、
海外では5000IU(1日用)、35000IU(1週間用)が発売されています。
国内での推奨摂取上限は100μg/day (4000IU) とされていますが、
海外製品を含めビタミンDサプリメントの過剰摂取によって高カルシウム血症を起こすことは
極めて稀と報告されています。
海外でのサプリメント使用量を鑑みると、国内摂取上限4000IU/日はやや低めな設定と考えられ、
国内主流の25㎍/day(1000IU)では補充としては不十分であることが多いです。


サプリメント摂取におけるポイント
ビタミンDサプリメントは、量が多い食事の食後に、一度にまとめて内服すると最も吸収率が高まります。
脂溶性ビタミンのため、脂質が含まれる食事の際に摂取することで吸収率が高まると推測される。 
                           (J Bone Miner Res 2010; 25: 928)

妊活中にお勧めなビタミンDサプリメント

ビタミンDサプリは入手可能なもので10種以上の製品があります。
コスパ、メーカー、買いやすさなどから、いくつか代表的な商品を列挙し比較していきます。
(費用は送料込、一般的な購入法での概算です。)

サプリ選択のポイント
多くのビタミンDサプリ製品に共通していえることは、含有量が少ないものがほとんどであるという事です。欧米では血中濃度30-50ng/mlが目標として推奨されていること、現代人は日照時間が短くビタミンD血中濃度が非常に低くなっていることを考えますと、国内商品主流の30μg/日以下では十分な血中濃度に達しない人が多いです。含有量が多い商品を探しますと米国メーカーか、国内ではVALX社のみです。

活性型ビタミンD血中濃度が25ng/ml以下 =不足している方
当院での解析によりますと、検査された方の約85%がこの範囲にあたります。
VALXの製品は、含有量60μgと海外製品並みの高容量で、添加物もなく、GMP管理基準をクリアしており品質、安全性も確保されておりお勧めされる商品です。
亜鉛も含まれているのを考慮しますとコスパも最も良いでしょう。
血中濃度が低い方、亜鉛も不足している方はこちらの商品がお勧めです。
(さらに割引、送料無料のプランを提案いただいていますので下記を参照下さい。)

亜鉛不足がない場合は、FANCLの製品が国内では含有量が高めなので、そちらをお勧めします。
もしくは米国の製品(NOW FOODS等)のご購入を検討するのがお勧めになります。

活性型ビタミンD血中濃度が25~30ng/ml
 =軽度不足の方
軽度不足の方には、FANCL、DHC、大塚製薬の製品でも十分かと思われます。
これらは有名なメーカ―であり、費用も抑えられているのでお勧めできる製品です。

活性型ビタミンD血中濃度が30ng/ml前後 =ほぼ正常の方
ビタミンDサプリ補充がほぼ不要なレベルの方です。
エレビット(バイエル社)は、葉酸補充のために使用している方も多いかと思いますが、
少量のビタミンDも含まれており、ちょうどよい補充になるでしょう。
念のためしっかりと補充したい方は、DHC、大塚製薬の製品がお勧めです。


VALX ビタミンD+亜鉛  
ボディービル、パワーリフティング界のレジェンド山本義徳さん監修のメーカーで
プロテイン、サプリメントを中心に製造しています。
GMP認定、高容量かつ、ビタミンDと亜鉛の配合剤なので、両方不足している方には
基本的にこちらの商品がお勧めです。
また、当サイト閲覧の方に向けて割引プランを提案していただいていますので、
あわせてご検討いただくと良いかと存じます。

FANCL ビタミンD 
ファインケミカル=混じり気の無い化学製品 という社名由来からもわかるように、無添加にこだわった化粧品、健康食品の大手メーカーです。軽度不足の方にお勧めでしょう。 

アマゾン FANCLビタミンD


大塚製薬 ネイチャーメイド スーパービタミンD1000IU  
米国で開発、誕生したものを、大塚製薬が日本国内に導入したブランド。 
香料、着色料、保存料の無添加をうたっておりますし、製薬会社ということで安全性は高いと思われます。費用的にも無難な商品といえるでしょう。軽度不足の方に適していると思われます。

アマゾン ネイチャーメイドビタミンD 


楽天 ネイチャーメイドビタミンD 


 DHC ビタミンD  
コンビニでよく目にするDHCですが、美容・健康業界では大手といえるメーカーです。
こちらも軽度不足の方に適していると思われます。

アマゾン DHC ビタミンD


楽天 DHC ビタミンD 


ナウフーズ(Now Foods) ビタミンD2000IU  
米国で有名なサプリメントメーカーの一つです。
高容量(2000IU=50μg)の割に、価格も安めの設定になっています。
ビタミンDは不足しているが、亜鉛補充は不要な方はこちらもお勧めです。

アマゾン ナウフーズビタミンD


 楽天 ナウフーズビタミンD


ビタミンD不足の場合、不足の程度はどのように判断すべきでしょうか。

血中濃度から不足程度を判断する目安は定まっていません。
あくまでも私見ですし、簡単な目安としての認識にとどめてほしいですが、
活性型ビタミンD濃度=25~30ng/ml を軽度低下と捉えていますので、
これくらいの不足の方は低用量商品の補充でも良いのではないでしょうか。
それよりも不足が強い場合、活性型ビタミンD濃度=25ng/ml以下 の方は
ある程度高容量な商品を選ぶべきでしょう。

ビタミンDは軽度不足にあたるのですが、
高容量の商品(50~60μg/日)を使っても問題ないのでしょうか。

問題ないですし、むしろちょうどよい補充になると推測されます。
日本の高容量商品でも、海外高容量商品と比較すると半分くらいの含有量でしかありません。
恐らく適切な血中濃度である30~50ng/mlにちょうど入り、
これを越えることはないと推測されます。
ましてや過剰摂取のラインである80ng/mlには到底届かないと考えます。

葉酸総合サプリエレビットを使っている。
ビタミンDも含まれているけど、別に取る必要あるの?

エレビット一日分に含まれるビタミンDは7μgと推奨量よりは大分少なめです。
採血検査で不足を指摘された方は、別にビタミンDサプリを補充した方がよいでしょう。
エレビットに加えて、ビタミンDサプリ商品を使っても推奨摂取上限量100μgは超えませんので心配はいりません。

ビタミンDサプリはいつまで続けるの?

不妊治療中はもちろんですが、継続率などにも関与するかもしれませんので、妊娠してからも出産間際までは継続することも一案かとは考えます。
ただ、分娩までビタミンDを継続摂取したほうがよいという医学的な根拠はまだでてきていません。また、厚生労働省も妊娠中のビタミンD推奨摂取は不明との見解を出しており、妊娠後どの程度摂取すべきかが判断が難しい面があります。
お勧めとしては、妊娠判明後はやめるのが無難かと思います。
妊娠後は、妊娠中使用の安全性がある程度確立されている総合サプリメント(エレビット)に頼るのがよいかと考えます。