ART周期を開始する場合、まずは採卵から行うことになりますので、
採卵周期がどのような流れで進んでいくのかについての詳細をまとめていきます。

通院頻度や、どの程度の所要時間が必要なのかなどについてもふれていきますので
一読いただければ幸いです。

開始までの流れ

まずは、ART周期を希望されてから、採卵周期が開始になるまでの流れを概説します。

1. 自費検査
序盤に男女ともに採卵前の採血検査を行っていきます。
保険適応がないけれども、妊娠する前に必要な項目を自費診療にて検査します。保険適応外のため10割負担となってしまいます(保険診療は通常3割負担)。
※当院で人工授精周期を既に行っている場合は、
これらの検査は施行済ですので再度行う必要はありません。

2.事前準備①②  (順番、内容等は状況により変更する場合があります。)
男女分けて説明をします。
女性は、動画等で事前学習を必ずしていただいてから
①で看護師から補足説明、質問応対をさせていただきます。
採卵成績を向上させるために必要な自己注射導入に向けて、
事前に2回の自己注射指導を受けていただく必要があるため、
1回目の自己注射指導も行います。
②初回の治療計画を立てます。(基本カップル同行でのご来院が必要です。)
当日渡された同意書は、熟読いただき、☑、署名を記入いただき、
次回来院時に医師にご提出下さい。
2回目の自己注射指導も受けていただき、これで採卵周期開始の準備が整いました。
この事前準備②の翌日以降(日を変える必要有)で、採卵周期を開始することができます。

男性は、当院で未検査であれば周期開始前に精液検査を実施していただきます。
採卵にむけて精液状況を事前に把握するためで、
あくまでも検査目的ですので、基本的には自宅採精で行っていただきます。
(女性が提出していただいても問題ありません。)
精液提出翌日には検査結果がでますので、
事前準備②の治療計画立案時に精液検査結果をご説明し、
受精方法(IVF or ICSI)の相談をさせていただきます。
治療に用いる精子は、採卵当日に再度ご提出いただきます。

3.採卵周期開始
事前準備が全て完了しましたら、次は採卵周期開始のため排卵誘発剤を開始する予定となります。
詳細は次項で説明します。
基本的に月経初旬(Day1~3)にお越しいただき、開始する予定です。
月経周期が不順で生理が来ずらい場合は、ピルなどのホルモン剤を使用し、
月経初旬のホルモン状況を作り出して周期を開始します。

男性の出番は、その後採卵日までありませんが、
女性は日々の注射や投薬、診療、採卵本番に向けて
不安を感じると思いますので
優しく労ってあげてください。

採卵周期開始から採卵日決定まで (概要のみ)

ART周期開始の準備が完了しましたら、採卵に向けて実際に周期を開始していきます。
ここでは、採卵周期開始から採卵までの簡単な流れを提示します。

上記の様に、
① 誘発剤開始
まずは月経初旬に周期開始に好ましい状況かを確認します。
問題なければ排卵誘発剤を開始します。

② 卵胞チェック
誘発剤開始から1週間前後あけて、卵胞の発育状況をチェックします。
ある程度大き目な卵胞の発育が確認できれば、採卵日を決定します。
まだ小さめな卵胞しかなければ、数日あけて再度卵胞チェックを行っていきます。

③ 採卵
薬剤によりコントロールされた排卵推定時間の少し前のタイミングで、
卵子を採取するため採卵を行います。
取れた卵子は数時間後に受精処置をしますので、採卵当日に精子が必要となります。

次項で、この流れの詳細について述べていきます。

周期開始から採卵まで (詳細・費用等)

採卵周期開始から採卵までの日程詳細になります。
ART周期で来院回数も多く、一番負担がかかる時期になりますので、
具体的な通院回数、所要時間、費用などをお示しします。
※提示内容は基本的パターンであり、個々の状況により変わります。
※所要時間も混雑状況により変わりますので、ご了承下さい。
保険診療での費用概算を記載しております。自費診療の場合はスタッフよりご説明します。

① 誘発剤開始
月経1~3日目を目安に、誘発剤開始を検討します。
採血を行い、1時間弱ででる結果を待つ必要があります。
身体状況に問題がなければ予定通り開始となります。
採血結果を待ち、薬剤設定・準備し、自己注射の導入指導を行いますので
所要時間2~3時間はみておいて下さい。

同意書は一読の上、ご記入いただき次回来院時に医師へ提出下さい。
署名日や 、☑ のもれが無いよう、必ず全てのご記入を終えてからご持参ください。

また、採卵候補日の目安をお伝えします。
次回来院時(②)に採卵日決定する可能性が高いため、
お二人にとっての採卵可能日程を幅広く把握して次回来院に備えて下さい。

② 卵胞チェック
誘発剤開始から1週間後頃を目安に、卵胞の発育状況を確認します。
卵胞発育が順調で、大きくなっていれば採卵日が決定されます。
お二人の都合が合う中で、卵胞状況を加味して採卵日を決定します。
日程の相談をスタッフとしてもらうことになりますので、
必ず事前に下記 “採卵日決定に際して” をご理解の上、
ご自身たちの日程を幅広く把握してからご来院下さい。

※女性(卵胞状況)にあわせて日程を決定することが望ましいです。
そのため、男性側が日程を合わせずらいと予想される場合は、
事前に精子凍結を行っておくことをお勧めします。

採卵日決定に際して

採卵日目安は注射開始から10-13日目頃になる可能性が高いです。
  ※元々の月経周期が不順な方は、日程がずれやすい傾向にあります

採卵可能曜日(医院都合): 月・火・水・金・土 です。
  ※木曜、日曜日は採卵できませんので、候補日から外してご検討下さい。
  ※祝日は可能です。

・薬剤効果の関係上、採卵日は卵胞チェック日(②)から早くても2日後以降になります。
(例:1/1卵胞チェックの場合→早くても1/3以降が採卵候補日)

卵胞がまだ小さい場合は、数日後に再度卵胞チェックを行っていきます。
(採卵日決定できるまで②を繰り返します。)
当院のプロトコールにおいては、卵巣機能不全などの特殊な場合を除き
3回以上の卵胞チェックを要することはほぼありません。

③ 採卵 
設定された日時でご来院いただき、採卵を行います。
採卵日決定時(②の時点)で、看護師から詳細な説明を行いますが、
採卵当日来院時間の目安としては8時前後で、約3時間後ころには帰宅できる方が多いです。
別項の “採卵当日の流れ” をご参照下さい。

採卵は卵巣に針を刺しますので、術後再出血を予防するために、
同日は帰宅後も安静を推奨しております。
ただ、デスクワーク等であれば再出血の危険性はあまり上げないと予想されますし、
帰宅後に強い痛みとなることは非常に稀です。
お仕事が休みずらい場合は、採卵当日午後以降は自己責任でご検討いただくこととなります。