妊娠中の運動について

妊娠中に運動は母児へのメリットがある反面、リスクも伴います。
許される範囲で適度に行うことを心がけましょう。

注意点1:心疾患、呼吸器疾患などの既往をお持ちの方や、子宮頚管無力症や、
性器出血を伴っている場合は運動は推奨されません。
担当産科医師の指示があれば必ず守ること、無理のない範囲で行うことを遵守しましょう。

注意点2:妊娠初期は流産のリスクが比較的高い時期になります。
適度な運動であれば、運動が原因で流産してしまうということはほとんどないと思われますが、
後悔することがないように、妊娠初期は過度な運動は控えた方が無難かと考えます。

運動を推奨する内容
適度な運動は妊娠中の適正体重の維持、ストレス軽減、うつ・不安障害のリスク低減に役立ちます。
また、腰痛や便秘などの妊娠関連の症状も軽減し、分娩時の体力向上、回復力向上にもつながります。
最も推奨されるのは、ウォーキング、スイミング、エアロビクスなどの中~軽度の有酸素運動です。
ACOG(米国産婦人科学会)は、健康な妊娠中の女性に対して、150分/週程度の有酸素運動を推奨しています。
同様に、軽い筋力トレーニングやストレッチングも含めて推奨しています。

妊娠中の仕事について

妊娠した後に、仕事への取り組みをこれまで通り行うかどうかについて、不安に感じる人が多いと思います。

妊娠経過に悪影響を及ぼす可能性がある業務としては、下記があげられます。
・ 重い荷重を急激にかける作業 (重い荷物を持ち上げる、大きな子供を持ち上げるなど)
・ 長時間連続的な歩行、昇降、全身運動など
・ 腹部を圧迫する作業、行為

これらの条件にあたるような業務内容であれば、職場に相談をして配慮してもらえると良いと思います。
上司などへ言いずらい方もいると思いますが、
妊婦さんに対しては、負担の大きい作業はさける配慮をするよう、法律上定められています。
前例がないとうまく対応してくれない職場もあると思いますし、
決まりをかさに強く主張しすぎて職場との関係が悪くなるのは好ましくないと思いますが、
無理はしなくても済むように、まずはよく相談をしましょう。

妊娠中の性交渉について

妊娠中の性交渉により、流産・早産などの悪い事象のリスクを上げてしまうかについては
関連性を示唆する報告と(=性交渉が問題となるかもしれない)、
関連性はないであろうという報告の両方があります。

これらの報告を元に考えると、
妊娠中の性交渉は、すごく危険というわけではないが、
安全であるとも結論づけることはできません。
少なくとも、安全に配慮したうえで、無理のない範囲で行うべきと考えます。

妊娠中の性交渉のポイント
・精液中には、子宮収縮、破水を促す成分が含まれているため、コンドームを着用しましょう。
・母体の腹部に負担がかかる体勢は避けましょう。
・出血、腹痛がある場合は控えましょう。
・産科医師から控えるように言われた場合は従いましょう。
・流産が起きやすい時期である妊娠初期は控えたほうが安心でしょう。
  (=妊娠10週頃までは控えましょう)

妊活中使用していたサプリメントの継続について

妊活中に使用を推奨される主なサプリメントには、
葉酸、亜鉛、ビタミンD、PQQ などがあります。
妊娠が判明した時に、継続をするかどうかについて迷われる方も多いと思いますので、
まとめていきます。

葉酸:妊娠初期の摂取が最も重要ですので、当然継続しましょう。
特に12週までは、胎児の脳、脊髄などの中枢神経系の形成が行われますので、
不足なく葉酸を摂取することが推奨されます。
妊娠13週以降については、重大な疾患予防の観点はうすくなりますが、継続が推奨されると考えます。なぜならば、妊娠中期から授乳中までは、非妊娠時よりも葉酸必要量は増えています。
葉酸は食事摂取のみでは不足しがちな栄養素ですので、不足による貧血、悪玉アミノ酸増加などを防ぐ意味合いで、ある程度の量はサプリとして摂取をしたほうが好ましいと推測されます。

ビタミンD・亜鉛: 詳細はそれぞれのサプリページをご参照下さい。
継続するメリットに関する報告がある(かつ継続することの危険性は非常に低いと予想される)一方で、
余計なものはなるべく取りたくない、費用を抑えたいという継続中止のメリットもあるので、
個々人で判断していただくことになります。

PQQ: 安全性関する報告がありませんので、ロート製薬株式会社の推奨通り、
妊娠が発覚したら中止しましょう。
授乳中も同様に再開は推奨されません。
次の不妊治療のために再開希望の方は、断乳した後に再開をしましょう。