このページではタイミング療法を今後行っていった場合、
どの程度の確率で自然妊娠が成立するであろうかという、
カップル毎の推測方法についてご紹介します。
タイミング療法を何周期くらい行っていこうか、
人工授精・体外受精へいつころから入っていこうかについて迷っているカップルは、
自然妊娠の確率を推測し、方針決定に活かしてもらえれば幸いです。

このページの情報、グラフは下記文献から引用させていただいております。
(Natural conception: repeated predictions over time. Human Reproduction, Vol.32, No.2 pp. 346–353, 2017)

この論文は、オランダで38施設、約5000組のカップルを対象に、
月経周期毎の自然妊娠の確率を解析した、大規模な前向きコホート研究です。
重要な解析結果を列挙していきます。

・妊娠を試みたカップルの中で、約10%は最初の1年では妊娠できない。
・1年目に妊娠しなかったカップルの30~60%が2年目に妊娠する。
・不妊症カップルの約50%は、根本的な原因は不明である(=検査では大きな異常は見つからない)と診断される。
・カップル毎に自然妊娠の可能性は大きく違う。

・タイミング療法の観察を初めてからの累計妊娠率は下図の通りであった。

タイミング療法における、月経周期毎の妊娠率 
   初回 : 3.6%        
   1年後 : 1.6%
   2.5年後 : 0.9%

タイミングの妊娠率:確率の良い初年度でも周期当たりで3%弱 (1年目で27%が妊娠)
周期毎のタイミング妊娠率は徐々に低下していく。

  これは自然妊娠できるカップルが徐々に対象から抜けていくからです。
  ある程度の周期数を試みて結果がでなければ、次のステップ(人工授精・体外受精)に進むのが推奨されている根拠となります。

タイミング妊娠率の予測方法

著者は今回の解析により、
原因不明の不妊症カップルにむけて、妊娠率の予測モデルを作成できたとしています。
下記にタイミング妊娠予測率の計算方法を記載していきます。

予測方法を利用できる対象カップル
(下記条件に当たらない場合は、この予測方法の利用はできません。)

女性
・月経周期が23~35日で大体順調にきている
・少なくとも片方の卵管が開通している

男性
・総運動精子数が100万個以上である

まず、自然妊娠が成立するかにおいて、重要な予測因子項目は下記の1~5であると結論づけています。

  1. 女性年齢
  2. 不妊期間
  3. 一人目不妊(原発性不妊) か二人目以降の不妊(続発性不妊)か
  4. 精子運動率
  5. 前医が家庭医か産婦人科医か

< 自然妊娠確率算出方法 >
1~5それぞれのポイントを下のポイント表から確認
ポイントを足して、まずは総ポイントを算出する。

1 女性年齢(歳) 例えば女性が34歳だとしたら、下のポイント換算バーでみると大体45点にあたる
2 不妊期間(年) 自然妊娠をトライした期間 例えばまだ1年位なら0点
3 不妊種類 原発性不妊=1人目不妊  続発性不妊=2人目以降の不妊
4 精子運動率(%) 例えば40%なら大体28点
5 紹介元 海外では専門医と家庭医で分かれている。
      婦人科医に診てもらっていてこれまで結果が出ていない→gynaecologist→48点
      治療歴無、婦人科で治療歴なし→GP→0点

という要領で1~5の点数を足していっていただき、総ポイントを算出してください。 
下段の表で総ポイントから、開始から1年間の妊娠率、 1年後からの1年間(開始1年目~2年目まで)
での妊娠率が推測できます。

例えば総ポイント80点であれば、(青のライン)
始めの1年間で妊娠できる確率は約35% 
次の1年間で妊娠できる確率は20%弱 
と推測できます。

ページの情報、図表は下記文献から引用、作成させていただいております。
(Natural conception: repeated predictions over time. Human Reproduction, Vol.32, No.2 pp. 346–353, 2017)