ERA検査は、Igenomix社が提供する着床不全に対する検査です。
この検査は、子宮の女性ホルモンへの反応性をみる検査です。
子宮内膜には、胚(受精卵)の着床に最適な時期(着床の窓₌Implantation Window)があります。
子宮内膜が胚の受け入れを可能としている期間、つまり着床の窓が開いている期間に胚が
入ってきた場合のみ妊娠が成立します。
この着床の窓が開くタイミングには個人差があり、
人によって時期が早かったり、逆に遅かったり、短かったりすることがあります。
良好な胚でも、この着床の窓が開いている時期に胚移植をしなければ妊娠が成立しません。
ERA検査は、胚移植を行うべきと予想される時期の子宮内膜組織を採取し、遺伝子発現パターンを解析することで、着床の窓がずれていないかを確認できます。

着床の窓₌Implantation Window 形成の流れ
下図は月経周期によって、どのように着床の窓₌Implantation Windowが形成されるかを簡単に示しています。
月経後、卵胞からでるE2により子宮内膜は肥厚し着床のための準備を開始します。
排卵を契機に卵巣からはP4が盛んに分泌されます。
P4が子宮内膜に作用し、数日後に着床の窓が形成される流れとなります。
着床の窓が開いている時期に胚移植を行うと妊娠が成立するわけです。
このP4が作用し始めてから、着床の窓₌Implantation Windowが開くまでの時間を調べるのが
ERA検査です。

ERA検査の対象となる人とは
ERA検査は不妊症の方の中でも、一部の方のみが対象となります。
下記の様な場合に検査が推奨されます。
・胚移植を複数回行っても妊娠に至っていない(反復着床不全)
・子宮内膜細菌叢の状態は問題ないのに着床しない
・着床の窓がずれている可能性があると医師が判断した方
少なくとも何回か胚移植を行ってみて、結果が出ない場合に検討される検査になります。
注意点として、もう一つの着床不全検査であるEMMA/ALICE検査(子宮内細菌叢検査)の結果と関連性があることを理解しなければいけません。
子宮内細菌叢に異常がある場合、着床の窓がずれてしまう可能性が報告されています。
子宮内膜細菌叢の異常は抗生剤などの治療により改善を図ることになります。
細菌叢が正常になることで、着床の窓がどう変化するかは予測がつきません。
そのため、まずはEMMA/ALICE検査(子宮内細菌叢検査)を行い、子宮内膜細菌叢が正常な状態でERA検査を行う必要があります。
ERA検査の周期形成方法
ERA検査では、通常胚移植を行う時期に子宮内膜組織を採取して、
着床における遺伝子発現を確認します。
そのため胚移植周期と同様の流れを形成し、検査当日を迎えます。
胚移植周期には、ホルモン補充周期と排卵周期があります。
ERA検査周期形成においては、検査会社であるIgenomix社はホルモン補充周期での検査実施を
推奨しています。
ERA検査はP4分泌から約120時間後に実施することが推奨されます。
排卵周期では排卵日を見極め、胚移植日(=ERA検査日)を決めますが、
着床の窓形成に関わるのは、排卵ではなく、それに伴って分泌されるP4となります。
排卵周期において、
排卵からP4が分泌されるまでの時間は、周期毎に少なからず変化してしまう事、
また医療施設としても24時間検査ができるわけではないので、至適なタイミングでの検査実施ができない場合は数時間ずらして検査を実施する事になる、
など再現性の問題点があると考えられています。
そのため不妊治療のなかで、
至適な胚移植タイミングの指標となるERA検査周期においては、
ブレが少なく、周期形成が容易なホルモン補充周期が推奨されています。

別項で、ERA検査周期の費用や具体的な通院スケジュールを
掲載しますので、検査前には一度ご確認下さい。