卵巣機能とは? 低下している場合に知っておきたいこと
この項のまとめ
- 卵巣機能とは、卵巣に残っている卵子(原始卵胞)の数のこと。加齢により低下し、その低下速度には大きな個人差がある
- 評価には採血によるAMH(抗ミュラー管ホルモン)計測が最も信頼性が高い
- 卵巣機能が低下すると、体外受精・顕微授精(ART)の成績が下がる可能性がある。一般不妊治療の妊娠率は高度に低下するまでほぼ変わらない
- 低下していた場合に最も大切なのは、治療開始・ステップアップを先延ばしにしないこと
- 対策の候補として、抗酸化作用をもつPQQサプリメントが注目されている(現時点のデータは動物実験が主だが、人においてもAMH改善の報告がみられる)
卵巣機能とは
配偶子である卵子は、卵巣の原始卵胞内に存在し、毎日30~40個の原子卵胞が卵子成熟、排卵に向けて発育を開始し、その過程で残存する原始卵胞数は年齢とともに減っていきます。
いわゆる卵巣機能(卵巣予備能)とは、卵巣内に残された原始卵胞の数により規定されます。
出生時には数十万個ある卵巣内原始卵胞は、50歳ころには1000個程度まで減ってしまい、
そのころになると卵胞発育が止まり、閉経を迎えます。 (下図:PLoS ONE より引用)
閉経状態まで卵巣機能が低下してしまうと、排卵できない=妊娠が不可能な状態となります。
卵巣機能の低下速度は個人差がかなり強く、人によっては早く卵巣機能が下がることがあり、臨床的に問題となります。
平均的には50歳ころで閉経するわけですが、
100人に1人は40歳になる前に、1000人に1人は30歳前に閉経を迎えてしまうと報告されています。
現在は晩婚化により妊活する年代が一昔前よりも遅くなっているため、卵巣機能低下により不妊治療が難渋するケースが増えています。

上図説明:縦軸は原始卵胞数 横軸は胎生期から産後の年齢を表しています。
赤ラインが中央値であり着目していただくと、母親の胎内で、女児の卵巣では原始卵胞数がどんどん増えていきます。その数は200万個ほどまで到達します。
出生前からその数は徐々に低下し、初潮をむかえることには数十万個まで減ります。
30歳台には数万個まで低下し、50歳ころには非常に少ないレベル(約千個)に達すると
閉経となります。
問題となるのは緑のラインのように、原始卵胞数が増え方が弱かったり、もしくは低下速度が速い方が一定数いるということです。40歳前には卵巣機能が閉経レベルに至ってしまう方がいます。
卵巣機能の計測方法 AMHについて
計測には下記のような方法があります。
| 検査 | 特徴 |
|---|---|
| AMH(抗ミュラー管ホルモン)採血 | 簡便・数値で客観的に評価でき、最も使いやすい。月経周期に関係なく測定可能 |
| 胞状卵胞数(AFC)超音波 | 信頼性は高いが、測定する医師の技量に左右される |
| 女性ホルモン採血 | かなり低下してからでないと変化が出ず、鋭敏な評価には不向き |
卵巣機能の評価法として、
簡便で最も信頼できる方法は、血液中のAMH(抗ミュラー管ホルモン)測定になります。
卵胞は、原始卵胞 →前胞状卵胞 →胞状卵胞 →成熟卵胞 →排卵 という発育サイクルを形成します。
AMHは、前胞状卵胞や胞状卵胞から分泌されるホルモンで、卵巣内に残っている原始卵胞数と相関するとされています。
AMHにより卵巣機能が評価できるロジック :
卵巣機能が良い=卵巣内に残存原始卵胞数が多い=育つ胞状卵胞数も多い=AMHも多く分泌される、
この理論からAMHにより卵巣機能推定が可能となります。
逆に、
卵巣機能低下=卵巣内に残存卵胞数が少なくなってきている=胞状卵胞数も少なくなる=分泌されるAMHも低くなる。
この様に、AMH値から卵巣機能(残存卵胞数)を推測することができるわけです。
・月経周期には左右されません。 どの月経時期においても測定が可能です。
・検査における相関性が低いため、20歳未満の方にはお勧めできません。
女性年齢と血中AMHの相関表になります。 (JISART:日本生殖医療標準化機関調べ)
ご自身のAMH値が、年齢平均と比較して高いのか、もしくは低いのかの把握にご利用下さい。

AMH値から勧められる不妊治療の方針
AMHはあくまでも卵巣機能の推定検査の一つなので、
この結果のみで方針を決めることはありません。
担当医師とよく相談のうえ、方針を決めていただくべきかと思いますが、
目安として簡単な表を作りましたので参考にして下さい。
卵巣機能以外に、女性年齢、その他の因子によっても方針は変わりますし、
希望する挙児数によっても治療を急ぐかが大きく変化しますので、
表の内容を鵜呑みにはしないよう注意して下さい。

20歳台の方でも、卵巣機能(AMH)低下が顕著である場合も、一定数みられます。
そういった場合は、早めに専門施設で相談をしましょう。
逆にAMHが高く卵巣機能良好と推測されて場合でも、
年齢が高ければ治療を急いで行った方がよいことは間違いありません。
卵巣機能低下を起こす要因とは
卵巣機能が低下する原因となる事象としては、下記のようなことが考えられます。
① 抗がん剤、放射線治療などのがん治療
② 卵巣腫瘍の手術
③ その他 (過度な酸化ストレス、染色体異常等、原因不明)
① がん治療
どの臓器のがんであったとしても、プラチナ製剤に代表される卵巣毒性がある抗がん剤を使用することで、その種類、容量に依存して卵巣機能は低下します。
また、放射線治療を要する場合、特に卵巣近傍に照射しなければならない際には、その照射部位、照射線量に応じて卵巣機能は低下することが知られています。
これらのがん治療は当然必要な事ではあるので致し方ないことであると思われますが、
卵巣機能が低下することは把握しておくことは重要です。
現代では、卵巣機能低下が顕著に起こると予想される治療を行う際には、妊孕性温存治療という方法が選択肢としてあります。これは、がん治療前に卵子や胚を採取しておくことなどが挙げられます。
詳細は、がん生殖医療を行っている施設での相談が必要となります。
②卵巣腫瘍の手術
卵巣腫瘍に対して手術療法を行うことでも卵巣機能が低下することが確認されています。
これは、腫瘍を核出するさいにはどうしても正常卵巣組織にも損傷を起こしてしまう点、
また核出した後の卵巣内では一時的に原始卵胞の消費速度が上がってしまうことなどにより
卵巣機能が低下してしまうと考えられています。
③その他 (染色体異常、ストレス等)
頻度は低いですがターナー症候群に代表されるX染色体に関わる一部の染色体異常でも、卵巣機能が低いことが確認されています。
他にも、まだ研究としては進んでおらず断定はできませんが、
過剰な活性酸素(ROS)の産生による酸化ストレスも卵巣機能低下を起こす可能性があると報告が出始めています。活性酸素(ROS)は生体にある程度は必要なものですが、過剰になると酸化ストレスとなって、卵巣内では卵胞発育阻害、卵胞閉鎖を引き起こすことが報告されています。
(Gougeon A. Endocr Rev, 1996)
これら卵巣機能低下に関与する項目の中で唯一、酸化ストレスを軽減することは、
普段の生活習慣や、別項で説明している強い抗酸化作用をもつPQQなどのサプリメントの使用により対策することが可能なので、必要な工程を行うことが推奨されます。
卵巣機能が低下すると妊娠率は低下するのか?
~卵巣機能と不妊治療成績の関係~
卵巣機能低下において、最も危惧すべき点としては、不妊治療において妊娠率が低下する要因になりうることでしょう。
卵巣機能低下=妊娠率低下 と一概にはいいきれませんが、妊娠成立においてマイナスに働く因子になります。
卵巣機能低下の程度と、不妊治療の内容によって、妊娠率が低下する場合としない場合があります。
どのような治療方法で、どういった理由でマイナス要因になるのかを、理解していきましょう。
ART治療においては、卵巣機能がある程度高い方が治療が順調に進みやすくなります。
これは、採卵にむけて排卵誘発剤を使用し、発育卵胞数をある程度増やすことで、採卵1回当たりの妊娠到達率があがることに起因します。
( ∵ 卵子獲得が1個の時よりも、10個取れた時の方が妊娠チャンスは数倍に上がる。)
ART治療が一般不妊治療よりも優位に妊娠率が高くなる要因の一つが、この発育卵胞数増加です。
しかし、卵巣機能が低下していると、発育卵胞数が少なくなってしまいます。
従って、ARTの場合は卵巣機能低下により、妊娠率が低下してしまうことがあります。
ただし、発育卵胞数を増やすにしても、20、30こ以上に増やすことに臨床的な意味はなく、
妊娠率は向上せず、副作用が増えるだけになります。
そのため、卵巣機能が高ければ高いほどART治療成績が良くなるわけではありません。
卵巣機能は低すぎないことが重要であるといえるでしょう。
排卵誘発方法にもよりますが、
明らかに発育卵胞数が少なくなってしまう目安としては、
AMHが2未満というところでしょうか。
卵巣機能、挙児希望人数、年齢などを加味して、
妊娠に向けてどのような計画を立てていくかが重要であるといえます。
多くの場合で、一般不妊治療の妊娠率は変わりません。
一般不妊治療では、多胎妊娠予防の観点から、発育卵胞数を過剰に増やすことをしません。
卵巣機能が高くても、低くても排卵数は1周期につき、基本1つとなります。
排卵する卵子の質は、卵巣機能ではなく、女性の年齢により規定されますので、
結果、一般不妊治療では卵巣機能低下により妊娠率は変わりません。
ただし、卵巣機能低下が高度な場合は(AMH 0.3前後以下が目安 )、
月経周期が元々順調であった方も不順になってきます。
これは、卵巣機能が高度に下がると、ホルモンバランスが変わり早く排卵したり(=月経周期が短縮)、
発育開始する卵胞数が少なくなることで排卵が遅くなったり(月経周期が延長)するせいです。
排卵が上手くいかない周期が出てくると、一般不妊治療において妊娠率が低下する要因になります。
このように一般不妊治療においては、妊娠率は大きくは変わりませんが、
上述のようにARTにおいては卵巣機能が低くなることで、妊娠率が低下する可能性高いです。
一般不妊治療中も加齢により卵巣機能は徐々に下がっていきますし、
また卵子の質も低下していきますので、
卵巣機能低下を指摘された方は、妊娠率が高いART治療へ
早めのステップアップを考慮すべきでしょう。
※月経不順=卵巣機能低下ではありません。
元々月経周期が順調だった方が、不順になりだした場合は
卵巣機能低下による月経不順の恐れがあるので、AMHなどで精査すべきでしょう。
上述を簡単にまとめますと、 卵巣機能が低下することで
・一般不妊治療は妊娠率は変わらない。
・ART治療は下がる可能性がある。
となります。
卵巣機能が低下してしまっている場合できることは、
これ以上、卵巣機能が下がる前に不妊治療を進めていくことです。
治療開始、ステップアップの時期を見誤らず、適宜進めていくことが重要でしょう。
卵巣機能が低下している場合
・不妊治療を実施できる残り時間が短くなっていると認識すべき。
・ART治療成績の低下が懸念される。
・改善が期待できる手段としてPQQサプリメントがあげられる。
卵巣機能低下を改善するかもしれない方法
卵巣機能は低下速度が人により差があり、一度低下した卵巣機能は戻ることはない、
というのがこれまでの通説で、医学的にはそれが常識でした。
しかし、強い抗酸化作用をもつ成分であるPQQのサプリメントを使用することで、
卵巣機能低下によっておこる卵巣組織の変化を改善する、
というこれまでの常識を覆す動物実験データも出てきています。
人においての大規模データはまだありませんが、
学会報告ではAMHが改善したなどの報告も出てきています。
これまでにはない効果を秘めた成分であり、期待がもてる成分といえるでしょう。
次項で詳細を説明します。