- ビタミンDの基礎知識
- 日光浴について
- 適切な活性型ビタミンD濃度、 摂取の現状
- 食品からの摂取
- ビタミンD不足と妊娠率について
- ビタミンD不足と妊娠継続について
- ビタミンD サプリメント 推奨量
- お勧めのビタミンDサプリメント
(エレビットを使用している場合どうするの?)
ビタミンD (カルシフェロール) は脂溶性ビタミンのひとつで、食べ物(魚、キノコ類など)やサプリメントから摂取したり、日光の紫外線を浴びることで合成が誘発されます。ビタミンDは女性ホルモンなどのステロイドホルモンと似た構造をもち、体内で複数回の代謝変化をすることで活性化ビタミンDとなり効果を発現します。
活性化ビタミンDは炎症抑制、細胞増殖・分化・アポトーシス、免疫機構、代謝経路の調節などに関与しています。
美容のため、日光には1秒たりとも当たりたくないという方もいるのではないでしょうか。
しかし、紫外線(日光)を浴びることで、皮膚にあるコレステロール前駆体がビタミンD前駆体に変化し、
その後体内で活性化ビタミンDへ変化します。
過度に日光を避けることでビタミンD不足につながってしまう可能性は否定できません。
季節による妊娠率の変化として、秋に妊娠率が最も高くなるという報告があります。
(Hum Reprod 2020;35:565)
気温、生活習慣など様々な要因が絡み合うのではっきりとはいえませんが、
もしかしたら日照時間が長い季節の後に上がるという可能性はあります。
美容と妊娠のバランスを考えるため、下記を把握しておきましょう。
・ビタミンD産生のために必要な 日光浴時間は15-30分間で充分(カーテン越しでも)といわれている。(環境省報告)
・紫外線の弱い時間帯 【=朝方、夕方】 に短時間浴びるのがお勧めである。
・ビタミンD不足により、肌の乾燥、炎症、皮膚疾患の増悪を招くという報告もあるので、
極端に日光を避けすぎると、逆にお肌によくないかも。
・日焼け止めは塗っていても、ある程度紫外線は皮膚から吸収されます。
そのため、日焼け止めは駄目ではないと考えます。 ( 当然紫外線吸収量は下がりますが。)
適切といわれる血中濃度は、国やガイドラインにより異なっています。
1. 推奨血中濃度(活性型ビタミンD)
・欧米では血中濃度30-50ng/mlが推奨とされる。 (J Steroid Biochem Mol Biol 2018; 175: 125)
・日本では20 ng/ml以下を不足、20~30 ng/mlを不十分、30ng/ml以上を十分、80ng/ml 以上は過剰、150 ng/ml以上は中毒域としている。 (内分泌学会ガイドライン)
血中濃度は 30ng/ml超えるようにするのが無難
2. 推奨摂取量
2020年の厚労省の報告によると、
国内のビタミンD平均摂取量は7.0μg/dayであり、8.5μg/day以上を推奨するとしている。
日本国民はビタミンD摂取が少ない。
ビタミンDは魚、鶏卵、きのこなどに多く含まれ、肉や野菜にはほとんど含まれていません。
効率よく摂取するためには動物由来のビタミンDがよく、
大体の魚であれば“一切れ”食べることで一日推奨摂取量の半分くらいを摂取できます。
特にビタミンDが豊富な鮭、イワシなどでは一口二口で一日摂取推奨量をとることができます。
ビタミンDは卵胞発育、着床、胎盤形成に関与し、不足することでは出産率、妊娠率に悪影響を及ぼすといわれている。
・ ARTにおける、ビタミンD不足と妊娠率について、11論文2700名の女性を対象にした複数論文のまとめによると
(Hum Reprod 2018; 33: 65)
活性型ビタミンD濃度において、不足群(<30 ng/ml)と、十分群(>30) で比較すると
活性型ビタミンD濃度が十分な群で優位に妊娠率が向上した。 (臨床妊娠率オッズ比1.46倍)
ビタミンDは抗炎症、抗菌作用、胎盤形成に関与するといわれている。
妊娠率だけでなく、その後の妊娠継続においても不足しない方が良い。
- ビタミンD不足を改善することで妊娠率向上だけでなく、不育症(流産)、妊娠中の合併症発症予防につながるのではと考えられる。 (Hum Reprod 2018; 33: 65)
- 反復流産症例群で有意なビタミンD不足が確認された。
ただし補充することでの改善効果は見られなかった。
因果関係ははっきりとは断言できない。 (Am J Reprod Immunol 2018; 80: e13022) - ビタミンD不足は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、不育症のリスク因子になる。
その他にも、産児の喘息、呼吸器感染、湿疹、認知機能障害、自閉症予防においても関与する可能性がある。
至適濃度(20-50ng/ml)を保つためには一日推奨摂取量600-800IU(15-20㎍)、妊娠授乳中1500-2000IU(37.5-50㎍)である。 (JAMA 2016 Jan 26)
妊活にお勧めなビタミンDサプリメント
複数の論文報告でお示ししたように、ビタミンD不足は、妊娠成立、妊娠継続に対して不利に働くため、
不足時は積極的にサプリメントを摂取しましょう。
ビタミンDサプリメントとして、日本では25㎍/day(1000IU)が主だが、
海外では5000IU(1日用)、35000IU(1w用)が発売されている。
国内での推奨摂取上限は100μg/day(4000IU)だが、ビタミンDサプリメントの過剰摂取によって起きうる高カルシウム血症は極めて稀と報告されている。 また海外の使用量を鑑みると、4000IU/日 を超えても常識的範囲の摂取量であれば、有害事象が起こることは滅多にないと推測されます。
(あえて超えることを勧められませんし、自己責任ですが。。)
サプリメント摂取におけるポイント
ビタミンDサプリメントは、量が多い食事の食後に、一度にまとめて内服すると最も吸収されやすい。
脂溶性ビタミンのため、脂質が含まれる食事の際に摂取することで吸収率が高まると推測される。
(J Bone Miner Res 2010; 25: 928)
お勧めのメーカー、商品
どのメーカにするのか選択が難しいと思いますので、販売中の商品情報をまとめました。
コスパ、安心できるメーカー、買いやすさなど何を重視するかによると思いますが、
いくつかお勧めする商品を列挙します。
- FANCL ビタミンD
- 大塚製薬 ネイチャーメイド スーパービタミンD1000IU
- DHC ビタミンD
- ナウフーズ ビタミンD 2000IU
- VALX ビタミンD+亜鉛
FANCL ビタミンD バランス良
ファインケミカル=混じり気の無い化学製品 という社名由来からもわかるように、無添加にこだわった化粧品、健康食品の大手メーカーです。 一日費用はやや割高ですが、その分やや高容量なので、不足が軽度~中程度の方にお勧めでしょう。
大塚製薬 ネイチャーメイド スーパービタミンD1000IU バランス良
米国で開発、誕生したものを、大塚製薬が日本国内に導入したブランド。
香料、着色料、保存料の無添加をうたっておりますし、製薬会社ということで安全性は高いと思われます。
費用的にも無難な商品といえるでしょう。 軽度不足の方に適していると思われます。
楽天 ネイチャーメイドビタミンD
DHC ビタミンD バランス良
コンビニでよく目にするDHCですが、美容・健康業界では大手といえるメーカーです。
こちらも軽度不足の方に適していると思われます。
楽天 DHC ビタミンD
ナウフーズ(Now Foods) ビタミンD2000IU 高容量、コスパ良
米国で有名なサプリメントメーカーの一つです。米国のほうがサプリメントに対する管理基準が厳しく、製品には一定以上の信頼があります。高容量の割に、価格も安めの設定になっています。
楽天 ナウフーズビタミンD
VALX ビタミンD+亜鉛 高容量、便利
ボディービル、パワーリフティング界のレジェンド山本義徳さん監修のメーカーでプロテイン、サプリメントを中心に販売している。メーカーとしての安心感は大手より落ちるが、GMP認定もあり、選択肢の一つとして問題なさそう。
高容量かつ、ビタミンDと亜鉛の配合剤なので、両方不足している方にはお勧めです。
楽天 VALX
Q:葉酸総合サプリエレビットを使っている。
ビタミンDも含まれているけど、別に取る必要あるの?
A: エレビット一日分に含まれるビタミンDは7μgと推奨量よりは大分少なめです。採血検査で不足を指摘された方は、別にビタミンDサプリを補充した方がよいでしょう。ほとんどの場合でエレビット+別商品を使っても推奨摂取上限量100μgは超えません。
Q:サプリはいつまで続けるの?
A: 不妊治療中はもちろんですが、継続率などにも関与するかもしれませんので、妊娠してからも出産間際までは継続しても良いかと考えます。
ただ、分娩までビタミンDを継続摂取したほうがよいという医学的な根拠はまだでてきていません。商品により添加物などが入っていて、それによる胎児への影響がないとは断言はできません。
お勧めとしては、妊娠後にきりが良い時にやめてしまうで良いかと思います。