この項のまとめ

・月経時期、検査種類により注意が必要
・排卵前の時期は安全性が高い、着床以降の時期には注意が必要
・放射線を使用する検査、薬を使用する検査、子宮内を操作する検査は注意が必要

妊娠トライをしている、もしくは不妊治療中の方から、
会社の健康診断って受けても大丈夫ですか?
こんな質問をよくお受けします。

結論としては、検査の種類によっては、妊娠・胎児への影響を考慮しなければいけません。
また、検査日における月経時期によっても影響は変わると考えます。

健診日と月経時期の関係

妊娠が成立する場合に、月経周期中にどのようなことが起こるのかについてを簡単に図示します。
(月経周期=28日として)

月経時期的に注意が必要なのは排卵後、特に着床(=妊娠成立)以降の時期でしょう。
排卵後の時期には、妊娠できていた場合の事を考え、次項のような胎児へ影響を与える可能性がある検査は控えた方が無難でしょう。

逆にいえば、月経中や月経終了直後(月経1日目~12日目頃)は比較的安全性が高い時期と認識すると良いでしょう。

注意が必要な健診内容とは

健康診断にも様々な検査がありますので、一概にはまとめずらいのですが、
妊活中に注意が必要な健診検査項目は、下記のようなものがあげられます。
最終的には健診先とよくご相談いただき、検査を実施するのかをご判断下さい。

放射線を使用する検査
まず慎重に対応すべきものとして、放射線を使用する検査になります。
具体的には、レントゲン検査、マンモグラフィー、CT検査、
消化管造影検査(通称バリウム検査)などがあげられます。
放射線検査については別項で詳細を記載していますのでご確認下さい。

放射線検査を行わざるを得ない場合は、遮蔽器具を下腹部にまいて検査することもあります。

を使用する検査
検査を行う際に、疼痛管理や、画像精度向上のため薬剤を使用する場合があります。
検査に際して使う薬としては、造影剤(画像を見やすくする)や麻酔薬(鎮痛、鎮静薬)などがあります。

・造影剤を使用する画像検査 =CT,MRI検査など 
   MRI検査用造影剤(ガドミウム)は、胎児へのリスク増加に関与すると報告されている。
                           (Joel G Ray. JAMA 2016)
・麻酔薬(鎮痛・鎮静薬)を使用する検査 = 内視鏡検査など
   痛みを感じる検査は麻酔薬使用を相談される場合があります。
   鎮痛・鎮静薬は薬剤により影響が異なるので、担当医とご相談下さい。
   安全とは言い切れない月経時期であれば、なるべく使用しないようにするのも一案です。
   
子宮内を操作する検査: 子宮体がん検診、子宮鏡検査など 
 健診でこれらの検査を行うことは稀ではありますが、子宮内に器具を挿入するこれらの検査は
 排卵前の時期に行うことが推奨されます。
 
 ※ちなみに子宮頸がん検診は子宮の外側の検査のため、妊娠中も含め、出血していない時期で
 あれば、実施しても大丈夫です。