産婦人科診療において、不妊治療や産科治療などを行う際には、
妊娠週数という単語がよく使われます。
私も注意点などの説明時には妊娠何週からはこれに気を付けてねと、よく使ってしまいますが、
今ご自身が妊娠何週なのかを把握されてない方も多いのではないでしょうか。
このページでは、妊娠週数とはどのように決まるのかについて説明をしていきます。
妊娠週数の算出方法 3つの方法
妊娠管理において、“妊娠週数”は、何週頃にはこのような変化、兆候などがみられるという指標になるものであり、各妊娠毎に正解は一つなはずです。しかし、医師も妊娠着床したのが、正確に何日ころなのかはわからないことが多々あります。
不妊治療をしている場合は、排卵日や胚移植を実施した日付から、ある程度正確に妊娠週数を算出することができます。
しかし、自然妊娠の場合は情報が乏しいため、妊娠週数はあくまでも推測であり、その推測が正しいかどうかを妊娠経過をみながら確認していく形になります。
妊娠週数は算出方法としては、
①月経開始日から算出 :簡単だが月経が不順な場合は不正確になる恐れ
②排卵日(もしくは胚移植日)から算出 :最も正確 わかる場合はこちらが基準に
③妊娠初期に胎児サイズから算出 :①②では決定できない場合に使用
の3つがあります。
この中から、医師が正解に近いであろう方法を選択していきます。
少し複雑なので、一つずつ説明していきます。
妊娠週数の基点となるものは、排卵日
胎児発育は排卵を契機に、受精・成長が開始されるので、排卵日が基準となり、
排卵日を 妊娠2週0日 とし、 その38週間後である 妊娠40週0日 が分娩予定日となります。
これが絶対的ルールとなります。
排卵日が分かる場合は、このルールに乗っ取って、方法②から妊娠週数が算出できます。
3つの算出方法
①月経開始日から算出
②排卵日(もしくは胚移植日)から算出
③妊娠初期に胎児サイズから算出
排卵日が正確にはわからない場合は、①月経開始日から妊娠週数を算出します。
①の方法では、月経開始日を妊娠0週0日とします。
この方法は、誰でも算出できる反面、 月経周期が28日から大きくずれる場合、
不正確な週数となってしまい、③により週数の修正が必要となります。
月経周期が28日の方は、月経14日目(妊娠2週0日)ころに排卵するので、
結果的に①でも②でも妊娠週数のずれは発生しないことが多いです。
一方、月経周期が28日からずれる場合を考えてみましょう。
月経が起こるメカニズムとして、排卵後にできる黄体が約2週間で白体となり
ホルモン分泌ができなくなることで起こります。
つまり月経周期がずれる理由は、全て排卵日が基準となる月経14日目からずれるために起こります。
卵胞発育が早く、排卵が早くなれば月経周期は短くなり、
卵胞発育が遅ければ、排卵も遅くなり月経周期は長くなります。
例えば、月経周期が35日の排卵日は、月経開始から21日目ころと推測されます。
①から算出すると排卵日は妊娠週数3週0日となってしまい、 ②の排卵日=妊娠2週0日とする絶対的ルールから1週間ずれてしまいます。 胎児の成長からすると正しいのは②のため、①の方法で算出した妊娠週数、分娩予定日を途中で修正する必要があり、そのためある程度胎児が育った時期に③により週数を補正されるわけです。
1. 排卵日が分かる場合は、排卵日を妊娠2週0日とする。
分娩予定日は妊娠40週0日です。
2. 排卵日が分からない場合は、月経開始日を妊娠0週0日とする。
a 月経周期が28日前後の方は、そのまま修正は不要。
b 月経周期が28日から大きくずれる方は、月経開始日から算出した週数は不正確と認識する。
以上が妊娠週数の算出方法になります。
※通院中の施設があるならば、もちろんそこで確認することが重要です。
排卵日や分娩予定日がわかれば、それを基準として、
現在の妊娠週数を計算してくれるページもネット上にありますので活用するものよいでしょう。