この項のまとめ

・生ワクチンは妊娠中接種不可、接種後は一定期間避妊が必要
・インフルエンザワクチンは、妊活中、妊娠中、授乳中 全期間接種可能
・コロナワクチン(ⅿRNAワクチン)は、妊活中、妊娠中、授乳中 全期間接種可能

妊活中にワクチンって打っても大丈夫なの? 
妊娠中打っては駄目なワクチンもあるって聞いたけど、どのワクチン?
こういった質問をよくされますので、本項でまとめますので、
参考にして下さい。

そもそもワクチンとは? どんな種類があるの?

ワクチンは、特定の感染症に対する免疫を体内で作り出すために使用される医薬品です。
ワクチン接種を受けることで、病気にかかるリスクや、重症化率を大幅に減らし、
また集団免疫の効果によって感染症拡大を防ぐ役割も果たします。

ワクチンは、病原体(ウイルス、細菌等)の一部、または弱毒化した病原体、不活化した病原体を体内に注入することで、免疫システムを刺激し、抗体と呼ばれる防御タンパク質を作らせます。
これにより体は病気に対する免疫を獲得し、実際の病原体に遭遇した際に素早く対応できるようになります。

ワクチンの主な種類

不活化ワクチン
病原体の病原性を不活性化し、免疫獲得に必要な部分だけを精製したものです。
このため、感染リスクはありませんが、数回の接種が必要な場合があります。
例:インフルエンザ、ポリオ ワクチンなど

弱毒化ワクチン(=生ワクチン)
病原体を弱めたものを使用し、生きた状態で接種します。
強力な免疫反応を引き起こし、1回の接種で長期間の免疫が得られることが多いです。
例:麻疹・風疹・ムンプス・水痘 ワクチンなど

トキソイドワクチン
病原体の毒素(トキソイド)を不活性化したものを使用します。
これは、毒素が病気の原因である場合に有効です。
例:破傷風、ジフテリアワクチンなど

mRNAワクチン
病原体タンパク質をコードする遺伝情報(mRNA)を使用します。
体内でこの遺伝情報から抗原(タンパク質)が作られ、免疫反応が引き起こされることで、
その後の免疫を獲得します。
例:COVID-19mRNAワクチン(ファイザー、モデルナ)

ワクチン接種のデメリットとしては、副反応があげられます。
ただし、副反応が起こる頻度は非常に低いことから、
メリットが非常に大きいのがワクチンになります。
必要なワクチンは接種することを検討しましょう。

妊活中に注意が必要なのは、生ワクチン

妊活中接種に注意が必要、もしくは妊娠中に接種できないのは、
弱毒化した病原体を含む生ワクチンになります。
生ワクチンを接種する場合は、妊娠の可能性がない時期に接種し、一定期間避妊が必要です。

主な生ワクチン
風疹、MR(麻疹+風疹)、BCG(結核)、流行性耳下腺炎(おたふく)、水痘、ロタ など

妊活中に接種をすることが多いワクチンとしては、風疹、インフルエンザ、コロナワクチンなどでしょうか。
風疹は生ワクチンなので、接種時期は注意が必要です。
その他、インフルエンザ、コロナワクチンはどの時期に接種しても問題ないとされています。

妊活中、妊娠中のインフルエンザワクチン

前述の通り、インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、
不妊治療中でも、妊娠中でも接種は可能です。
逆に妊娠期間中では接種が推奨されていますので、簡単に述べていきます。

妊娠中は免疫機能が変化し、インフルエンザにかかりやすく、重症化しやすくなります。
重度のインフルエンザ感染は、肺炎などの合併症や入院のリスクを高めるため、
ワクチン接種によりこのリスクを減らすことができます。
また、妊娠中に母体がインフルエンザにかかると、早産や低体重児のリスクが高まることが報告れており、ワクチン接種により、これらのリスクを減らすことができます。
母体で作られた抗体が胎盤を通じて胎児に移行するため、出生後短期間ですが新生児のインフルエンザ感染リスクも減らします。

妊活中、妊娠中のコロナウイルスワクチン

主に流通しているコロナウイルスワクチンは、mRNAワクチンです。
妊娠中、授乳中、妊活中 どの時期も接種可能とされています。
くわしくは下記、厚生労働省の発表をご参照下さい。
(https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0027.html)